演出家 柴田侑宏先生 思い出の作品『うたかたの恋』『大江山花伝』『黒い瞳』ほか
柴田先生の告別式が、昨日22日にあったそうです。
高汐巴・ペイさんのツイッターが流れていました。
高汐巴より
本日柴田先生お通夜に伺いお別れを致しました。
沢山の作品花組時代に書き下ろして頂いたご恩は本当に有り難く、今も大切な思い出となり私の一生の宝となる事でしょう
柴田先生本当に有り難う御座いました。
主題歌琥珀色の雨にぬれて、真紅なる海に祈りを、あの日薔薇一輪。— 高汐巴後援会 (@JABE44174413) 2019年7月21日
私が宝塚を見始めた頃は、柴田先生の作品が沢山ありました。
トップになると、一度は書き下ろし作品を演じる。四人四様の主人公、時代設定、主題歌があり。
柴田先生の恋は、とても大人で男性目線で、一筋縄ではいかない、まさにセ・ラ・ヴィ。切ない、これが人生なんだなと、人生勉強させてもらったような。
作曲家・寺田瀧雄先生とのコンビが40年だったそうで。演歌調で詩が美しい名曲が沢山あります。
私の柴田作品語り、やってみます。
名作で賞
『うたかたの恋』
初めて出会ったのは、友達から借りた劇場録音テープ。麻実れいと遥くらら、ゴールデンコンビでした。
映像で見れなくても、歌と声だけでも、充分あの美しい切ない物語が頭の中で何度もリピートされました。思えばなかなか過激な内容だったなぁ。
あらためて、宙組りかさんの主演でうたかたを舞台で見ました。
ちょっと恥ずかしい位、純愛で。
エリザベートのルドルフが主役と思うと、それも感慨深い。
最後の影ソロが、悠未ひろ。号泣でした。
柴田先生の作品ということを最近まで知らずにファンでした。名作です。
大好きで賞
『大江山花伝』
とけてはかなく薄紫の、夢の間にたゆたいて
私はこの話が大好きで。
柴田先生が平みちもさくさんへ書き下ろしたのが、鬼と人間のハーフの役だなんて。。。
今思うとこれまたセンセーショナル!でも、本当に美しくて切ない。
もさくさんとやっちゃん、かりんちょの当たり役となりました。
茨木が鬼だって?
誰にも鬼の心を持っているじゃないか。そう、藤子は訴えます。
まるで歌舞伎のような隈取化粧で、酒呑童子絵巻を舞台で観ているような。
紫の藤の花と鬼達の威勢と、非現実感を感じました。
運命の再演は、大空祐飛のプレお披露目。めちゃくちゃ感動しましたね~。
『黒い瞳』
ロシア文学を題材とした宝塚作品は数あれど、私は「黒い瞳」が大好きです。
月組 真琴つばさ、風花舞の書下ろし作品。
ロシアの暗い歴史のうねりをベースに、宮廷の華やかさと民衆ジプシーの泥臭いシーンが織り交ざり、その中でもマーシャの純粋な美しさが際立ち、特に雪深い情景をイメージするセットやダンスシーンがとても美しかった。
宙組ゆりかさんで再演され、初めて舞台で拝見しました。
雪組キムミミ&マッツのバージョンは映像で見ました、凄くよかった。シバーブリンのこまが最高。
大人の恋で賞
『琥珀色の雨にぬれて』
私は映像で、花組 高汐巴、若葉ひろみ、大浦みずき 初演を観ました。
まさにあて書!!
ペイさんには巴里が似合う。なーちゃんも、パリが似合う。お坊ちゃまなペイさんと、ジゴロのなーちゃん。ひろみさんは、大人の女性。ペイさんトップ就任前から娘トップだったので、この設定がしっくり来る。
これほどナイスな設定は、無いっ!
こちらも雪組だいきいで、初めて舞台で拝見しました。
舞台空間を埋めるのって、大変だな~って、観ているこちらも思ったかな。
他に観た作品
初演で生の舞台を観たことがあるものは、
剣幸『ときめきの花の伝説』高汐巴『あの日薔薇一輪』『真紅なる海に祈りを』平みち『たまゆらの記』高寿たつき『花の業平』『ガラスの風景』彩輝直『飛鳥夕映え-蘇我入鹿ー』。
映像で見たことがある、剣幸『川霧の橋』涼風真世『珈琲カルナバル』杜けあき『忠臣蔵』。
再演では、きりやん『アルジェの男』ゆうひ『誰がために鐘は鳴る』まぁ様『バレンシアの熱い花』たまきち『激情』ちぎ『哀しみのコルドバ』ゆうひ&みりお『仮面のロマネスク』。
映像でイチロ『あかねさす紫の花』
ビックリ、沢山あるんですね~。
あらためてWikiで調べて、柴田作品の多さを知りました。
王朝もの、人情物、ヨーロッパや原作もの。とにかく幅広い!!教養の高さを感じます。
柴田先生のおかげで、色々な文学を知る事ができ、まさに自分の教養を高める事にもなったと思う。
宝塚って歴史の勉強になるよね~って学生時代は思ってましたもの。
ヒロインに対峙する娘役への共感
特に印象に残っているのは、2番手娘役や、別格娘役の描き方。とても共感を持った作品が多かった。
- 愛する人のために諦める女 カッコいい生き様
- 無様だけど本能のままに生きる女 ほっとけない可愛さ
- 国のために生きる女 思い人を胸に秘めたまま
二人の女性に愛されて、苦悩するトップ。そんな構図がニクイです。
もちろん逆もあって、二人の男性から愛されるヒロイン。どっちを選ぶのか!って考えさせられる。
勉強になりました。
また役の多さも特徴的で、下級生までにフルネームがあって、細かく役が作りこまれている。
大変な作業だと思います!生徒への愛を感じます。
柴田先生を偲ぶ代表作の再演
柴田先生、沢山の宝を残してくださり、ありがとうございました。
宝塚はこの作品達をいつまでも受け継いでいくことでしょう。
先生のご指導が直接受けられないのは残念だとは思います。でも沢山の後任者・先生方がいらっしゃいます。
柴田先生を偲ぶ代表作の再演を、大劇場で観ることができたら嬉しいです。
劇団四季、ジャニーズ、宝塚。
日本の一大エンターテイメントの重鎮が、相次いで亡くなられた今年。
何か感慨深いものがありました。
きっと「アナザーワールド」で、自由に何も縛られず、沢山の作品を上演されることでしょう。
ご冥福をお祈りしております。