『冬霞の巴里』主なキャストの感想2 永久輝せあと復讐の女神に翻弄される者達




結構まだ余韻が残っている『冬霞の巴里』。個性的なキャラクター達について、一言残しておかなければ勿体ないなと。

主なキャストの感想をツラツラと。

ヴァレリー一家

オクターヴ:永久輝 せあ

復讐心が似合う、青い青年でございますよ。

父を殺した叔父、母、ブノワに復讐を誓う息子、オクターヴ。幼い頃、父より稼業を継ぐのはお前だと、明るい思い出ばかりが残っている。

3人が許せない、僕は被害者だ、誰も邪魔するな、あぁどうすればいいんだ~😣と、葛藤する中二病の青い青年とでもいおうか。姉アンブルと復讐心を共有する事で、生きる支えにもなっていたのかも。愛してはいけない人だから(結果的には血のつながりが無いので、愛せる対象なのだが)、わがままな弟として繋がりを保っていたというか。

この不安定さがオクターヴの魅力ではないだろうか。

見所の一つ、ひとこの凶暴性。
剣術披露で、本気でギヨームを殺しそうになった時の顔や、最後の晩餐での銃撃戦。”本心に従うと命取りになる”と、ヴァランタンから忠告を受けたが、まさに寸止めの迫力だった。

オクターヴに感情移入することは難しいと思うけど、芝居人としてはとっても遣り甲斐のある主人公だったのではないでしょうか!大変魅力的なお役でした😃。

クロエ【オクターヴの母】 :紫門 ゆりや

ゆりちゃん、最高の女役!でした👏👏。

いつか演じて欲しいな~と思っていたので。素晴らしかった。

なんたって夫を殺した妻なのだから。色々な感情を胸に持ち、若い頃は沢山モテて、今はギョームの妻に落ち着く、一筋縄ではいかない女性。オクターヴへの冷たい目線。夫が生きていた頃の優しいクロエも素敵。

あの最後の晩餐の、ギョームの命を懇願するクロエの演技に息を呑んだ。本当に震えていたんだよ。演技なのかリアルなのか分からない、凄い瞬間だった。

フィナーレのダンスもセクシーで素敵でした!ふと、元専科月組の沙央くらま、こまちゃんを思い出しました。今後もパンチのきいたエレガントな女役に期待したいな―と思った。

ギョーム【オクターヴの叔父】:飛龍 つかさ

今回はひとこの叔父、年齢がグッと上のお役で、今までの印象とは全然違う役どころでしたね!

穏やかそうだけど、ちゃんと人の目を見て話さない感じ?が不思議な印象でした。役作りなのでしょうね、フワっとした人格で。きっと何かに苛まれている、秘密を持って生きている人なのかなと。
でもアナーキストの取締りの話となると、威厳があってさすが警視総監😍という感じで、とっても素敵でした。

つかさ君の新境地!だったと思います。役の幅が広がります、今後も楽しみ。

アンブル【オクターヴの姉】:星空 美咲

ヒロイン役を重ねるごとに、星空美咲の娘役芸”が、確立していってるんじゃないかな~。
演技、振る舞い、そして今回歌手のお役で、とても歌が良かった😃。

フツーのお嬢さんでは物足りない大型娘役、なんでしょうね。配役を観た時は、お姉さん役!?って思ったけど、これまたシックリ来ていたと思いますし、今後も是非この個性を生かして欲しいなと。

ひとこを見守る母性本能と、本物の愛情。弟と一緒に成長していこう(生きていこう)と心に決める、意志の強さ。アンブルは、強さと儚さを合わせ持つ、経済的にも自立したかっこいい女性だった。

そしてフィナーレがまたカッコよかった😍!
ひとことのデュエットダンスは、役の関係性を感じる、とっても見ごたえのある2人でした😃。

ミッシェル【オクターヴの義理の弟】:希波 らいと

何も知らずに兄を尊敬して生きてきたミッシェル。最後は、何とも可哀そうに…。大きな身体を折り曲げて絶望感に陥っている姿が、こっちまで辛い気持ちになりました😔。

苦悩を知らない自分を、理解しているミッシェル。最後まで兄と姉を見守る良心の塊のような存在感でした。彼女のキャラにあっていて好演だったと思います!

エルミーヌ・グランジュ【ミッシェルの婚約者】:愛蘭 みこ

エルミーヌが結構大活躍でしたよね!

天真爛漫で、ちょっと人のプライバシーに入り込みたいっ😋!って思う好奇心旺盛のお嬢様を、ナチュラルに演じていたと思います。ピッタリ!だったと思います。

愛蘭みこ、宝塚らしい、愛らしい娘役さんだなと思いました。

カジミール・ブノワ:峰果 とわ

オーギュストの元部下。
ブノワの憎たらしさ、ビジネスマンとしてのいで立ち、とっても安定感があって良かった。

なかなかの敵役感ですよね~。こちらもつかさ君と同期の98期。ひとこより学年が下ですが、イケてるオジ様がイイ感じです👍!

下宿の人達

ヴァランタン:聖乃 あすか

来ましたよ~、カメレオンあすかちゃん。ナイフのような男🗡

物凄いメイクで、目チカラ👀と存在感が半端ないっ😆!アナーキスト代表。活動で殺された父の復讐を狙っていた。

”本心に従うと命取りになる” 彼の発言、行動は、なかなか本物だった。

混乱のパリの世でなければ、もっとまともな人生だったんじゃないかな?と思わせる知性も感じるヴァランタン。そこはあすかちゃんの持っている品が出ていたからかも、しれません。

学生 シルヴァン:侑輝 大弥

もう一人のアナーキスト、シルヴァン。だいや君。

常に焦っていて、いつやるんだ?いつ爆破するんだ?って、目的が手段になってしまった、闇落ちしてしまう医学生だった。この物語の爆弾青年は、シルヴァンでした💣💥。

最近爆発するシーンが続いている。
京映スタジオでは俊道龍之介のワンシーンでダイナマイト爆発。花のお江戸では、オランダお銀が仕方なく火玉でドッカン!冬霞のパリでは、アナーキストが無差別テロで爆破未遂…。

これは何かの暗示だろうか…、世の中ドッカンドッカン、モヤモヤしたものを吹っ飛ばしたい事がたーくさん、ある😠!ってこと?

ジャコブ爺:一樹 千尋

ちひろさん、物凄い浮浪者ルック!

皆さん汚れ衣装に汚れた芸術的メークが本当に凄いんですよね。
どういう存在なんだろうと、初めは思っていたら、なんとなんと、オクターヴやアンブルを幼い頃から知っている主治医で、オーギュストと揉めて辞めさせられたらしい。

浮浪者さんが、元サラリーマンだったり、政治家だったりする話がありますよね。世の中の乱れ、汚れを知って世捨て人になってしまった人達。

ジャコブはもうオーギュストの事は恨んでない。この世に復讐や恨みなどない、達観しているのか?沢山の真実と、生きるヒントをくれるありがたい存在です。

女将 サラ・ルナール:美風 舞良

あおいさんは、この公演で花組組長さん💮。なんて可愛らしい組長さんなんだ😃。

女将のサラルナールは、元女優のようなスチール写真でス・テ・キ😊。
レミゼラブルに出てくるような宿屋の女将。宿屋の元気印、明るい太陽な存在でした。

冥界に彷徨う亡霊

オーギュスト【オクターヴの父】:和海 しょう

お父さん!あなたが全ての根源ですってば~。

既に死んでいるので、冥界を彷徨う、亡霊として息子や弟に纏わりついたり、回想シーンで素敵な父として存在したり。
子役のオクターヴ 初音夢との思い出はとても美しい。でも、弟ギヨームへの高圧的な指示は(亡霊になっても仕事を指示していた)ああ、嫌な奴!って嫌悪感すら感じさせられました。

やっぱり、オーギュストはあんまりいい人じゃなかったんじゃないかい?

イネス:琴美 くらら

初めはずっと存在の意味が解らなかったんだけど、後からジワジワと理解出来る瞬間がくる。。

アンブルにはもう一人の姉がいた。イネス。ああ、彼女はもうこの世にいないんだと分かる。自殺した姉。

心の清らかなまま亡くなったイネスは、とっても清らかな存在感でした。若くて美しいイネスでした。

エリーニュス達:咲乃 深音、芹尚 英、三空 凜花

エリーニュスとは、ギリシア神話に登場する復讐の女神たちの事だそうだ。

インパクトが一番大きかったのは、このエリーニュスお三方です!

メークが超個性的。ちょっと怖い?でも良ーくオペラでみると、ピエロのような、宇野亞喜の世界観。素敵なメイクで、大変お洒落。その存在感に拍手👏👏。

復讐の女神達は、常に傍にいる。歌を歌い、人間たちを冷めた目であざ笑っているかのよう。何て愚かな生き物なんだと…。

宝塚作品には、天使とか、黒天使とか、妖精とか、様々な目に見えない存在を表現してきているけども、ここまでインパクトが大きく、芸術的な物は、無いんじゃないかなぁ🤔。

と、書きつつも、全然足りない。私の技量では、まだまだ伝えきれない。

復讐とはそんなに大そうなものか?

親の復讐のために人生を棒に振るくらい、そんなに大そうな物なのか?

一方的な見方で、アイツが憎い!許せない!って思い詰めても、多方から見ると、そうした理由やいきさつがあって、そこまで復讐心を燃やすような相手だったか?って考える事も大事かもしれないね。

当時のパリは、貧困と汚職にまみれ、分断された混乱の社会。もしかすると「復讐」というモチベーションが無いと、ピュアな人間は心を強く持って生き抜いていかれない社会、だったかもしれない。

復讐そのものを実行する事が大事ではなくて、復讐心を絶えず心に持っている事が、生き残るすべだったかもしれない。本当に復讐してしまったら、それこそ命とりとなる…。

そんな事を思った。

明日で千秋楽か~。カンパニーの皆さん、燃え尽きてください!CS放送を楽しみに待つ🙆。

宝塚1stフォトブック 永久輝せあ (2022-2023) (タカラヅカMOOK)

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