永久輝せあ『冬霞の巴里』感想1 良く出来ている!冥界とブルジョア、貧民達 復讐劇の顛末は息を呑む




永久輝せあ主演、指田珠子先生演出の『冬霞の巴里』。ライブ配信を先週観て、東京ブリリアホールで生で観劇できたことに感謝です。

これはね~、物凄く面白かったんですよね🤔。お話が良く出来てる!

癖になりそう 個性的な演出

一番特徴的なのは、薔薇のような血のようなマーブル模様の衣装、貧民達のかなり思い切った汚れたメイク、冥界の方々のピエロのような存在感。舞台背景の絵は淡い水墨画のようなものだったり、ペンキでグチャグチャに汚れた部屋だったりと、とにかく今までにないアート性を感じる演出だったことも、大変興味深かった。

独特の世界観を作り出した花組メンバーと、その中で緊迫感感じる復讐劇の心理戦、最後の攻防戦は、あまりにも衝撃的で息を呑みます😱。ぼかさず、一部始終舞台上で見せてくれます(サスペンス)。

何日か日が経ってからも、なんだかこう胸につっかかるような、、後からジワジワきます。

ライブ配信の時は、

え、ホ、ホラーですか😈?

ひとこのアナウンスがく、く、暗い…。このままドヨーンとしちゃうのかなと思っていたけど。
冥界の方々のメイクがちょっと怖い?下宿の皆さんもかなり汚れて個性強すぎだなぁって思ったりして、初めは見慣れないかもしれない😮。

でもそこが、この作品を癖になってしまう理由かもしれない。2度目は目が慣れてきて、かなり面白い工夫をしてるんだなーってよーく観察したりしてました。アイシャドウの色が左右違ったり、眉毛切れてたり、なんか凄いんだよね。

この花組カンパニーの気合、挑戦にリスペクト!でした。

ブルジョア、子供時代、貧民、冥界が共存している空間

このお話のメインであるアンブル&オクターヴ姉弟、母クロエ&叔父ギョーム夫妻、弟ミッシェル&エルミーヌカップル。そして、アンブル&オクターヴのお子様時代の子役達に、死んだ父オーギュスト、姉イネスの亡霊。

宝塚らしい美しいブルジョアの人々も、皆同じ狂った巴里に住んでいる者同士。

舞台上では亡霊も、貧民も、不思議と交わって登場する所に、時空を超えたパラレルワールド感を感じます。違和感なくスムーズでお話の展開が分かりやすく、上手く出来てるなぁ~と感じた点です🤔。

簡単なあらすじ※ネタバレあり

お話が幾層にも重なっていて、でもこの時間内で全て盛り込まれていても、お腹いっぱい感は無くて丁度よく、まとめ方もやっぱり凄いな~、この作品。

父オーギュスト(和海しょう)はパリの百貨店経営に成功し、女性関係も華やからしく順風満帆であった中、自殺した。そんな事はパリに良くある話、らしい。

息子のオクターヴ(永久輝せあ・初音夢)は、自殺した父の第一発見者で、その時、母クロエ(紫門ゆりや)、叔父ギョーム(飛龍つかさ)、部下のブノワ(峰果とわ)3人で話している内容を、姉アンブル(星空美咲・湖春ひめ花)と聞いてしまった。父はこの3人に殺されたのだと確信したが、真相は闇に葬られている。

その後、ギョームとクロエは結婚し、弟のミシェル(希波らいと)が生まれた。何食わぬ顔で幸せそうにしている家族から、オクターヴとアンブルは距離を置いている。

新聞記者となったオクターヴ、歌手となったアンブルは、父の死の真相を突き止め、復讐を狙っている。オクターブはアンブルの下宿に住む。ここには貧しい学生、元医者、踊り子達が住んでいる。
下宿人のヴァランタン(聖乃あすか)、シルヴァン(侑輝大弥)は無政府主義者(アナーキスト)で、パリの街でテロ・爆破活動を行っている。叔父ギョームはパリの警視総監で、アナーキストの取締りを行っている立場であった。

アンブルはパリのカフェ・コンセールの人気歌手。殺害に関わった父の元部下ブノワに近づく事ができた。ブノワは勘づかれたか…と、オクターヴを裏寂しい通りに呼び出し、始末する予定が、逆にオクターヴに殺されてしまう。

1人目の復讐が成功した。次は叔父と母を殺すんだと姉弟は話すが、本当にそれでいいのか、不安になる二人。

アナーキストのヴァランタンにも復讐する相手がいた。オクターヴに挑発するヴァランタン。親の復讐がそんなに大そうなものか?何もかも捨てろ♬ ヴァランタンの行っちゃってる目が鋭くて怖い。お前がやらないなら、俺がやる…。

12月31日、ヴァレリー家が揃って新年を迎える食事会。料理が遅いな・・・。そこに現れた給仕の一人ヴァランタンが、ギョームを撃つ(刺す?)。父を警視総監のギョームに殺された事への復讐だったのだ。
まさかの展開😱 オクターヴも復讐する!ギョームの足を撃つ。必死に懇願するクロエ。もうわけがわからなくて呆然とするミッシェル。オクターヴを心配するアンブル、そしてこの一家の事情を初めて目撃する、ミッシェルの恋人エルミーヌ(愛蘭みこ)。

各々が自分の思いの丈をぶつける。俺だって辛かったんだ!オーギュストは亡霊になっても纏わりついてくる。あの人が娘イネスを結婚させようとして、娘は自殺したのよ!みんな苦しいのよ、決して父はみんなにとっていい人では無かった。

最後、ギョームにとどめを撃とうとするヴァランタンを、オクターヴが撃ち、結果、叔父を助ける事になる。いつ誰が誰に殺されるのか分からない緊迫した息を呑む瞬間。。外は新年を祝う花火が上がった。

実は下宿にいたジャコブ(一樹千尋)が、もとヴァレリー家の主治医をしていた事があり、クロエは後妻で、連れの娘がイネスとアンブルだったと聞かされる。つまりオクターヴとアンブルは血が繋がっていない姉弟だったのだ。

人を殺したオクターヴ。アンブルは自分も同罪だと、2人共犯であると伝え、いつまでも姉弟としてずっと一緒に生きていこうと、2人霞の中を歩いて消えていく。

本筋はこんな感じ。死んでしまった人々の念が成仏できずに冥界に漂っている話や、アナーキスト劇場爆破未遂事件、エルミーヌの慈善コンサート・剣術披露と、オクターブとのパリのお散歩、子供時代焼き栗食べたパリの街角、オーギュストの汚職、ギョームのもみ消し、誤認逮捕、等々、色々な出来事が鮮やかに絡み合ってきます。

文句なく、ひとこ代表作でしょう

演じているご本人は、物凄くパワーがいるだろうし、救いようがないって思っちゃうかもしれない。ドヨーンとした余韻が残る終わり方でもあるんだけど、客席では様々な感想、想いが生まれる作風だと思います。

文句なく、代表作の一つとなった事でしょう。

パンフレットに書かれていた、”永久輝せあの凶暴性が見たい” という先生のコメント。分かります!

少女漫画の王子様のようなひとこですが、戦ったり、苦悩したり、うわぁぁって振り乱したりする姿を、観てみたい男役ですよね~。今回は美咲ちゃんに甘える弟君場面もあり、母性本能をくすぐられるシーンも。

最後のご挨拶のひとこは、何となく甘えんぼう弟キャラ。このギャップ!!たまらないかもねえ。

私個人の技量では、この舞台の事をちゃんと伝えられないと思う。かなり、良く出来ていて、かなり完璧だったと思われます。そこがまた新しいというか。

指田先生と永久輝せあのコラボレーション、今後楽しみだなぁって思いました。時間と余力があれば、キャストの感想も残したいなと🙋。

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