月組『夢現無双』感想2 サイトー歌舞伎にあれこれ
無事、初見で宮本武蔵を見る事が出来たので、あとから情報補給するように、撮りためた涙の!NOW ON STAGEや、WOWWOプルルミエールを見ました。
未だかつて、あんなに泣いちゃうNOW ONってあります?さくらとみやちゃんのくだりから、もう私はもらい泣き。
みやちゃん、あなたはなんて
いい人なのっ!!尊敬。
サイトー先生の武蔵の演出、なかなか私としては良かったのではないかと思います。あれだけのエッセンスをよく短時間に入れ込みましたね。
演者も気持ちが忙しいと言ってましたが、逆に言うとスピーディーでお客さんを飽きさせない努力があるかと思います。
サイトー先生の武蔵 気に入った所
セットが良かった!
セットと照明の使い方が良かった。
森の中感を凄く感じた。マイナスイオン出てたよね?
巌流島の戦いにつながるよう、左右にある波の電飾の感じや、最後切られた時の赤い照明、すごく面白かったと思います。
また花道に船が出てくるところも、浮世絵、劇画調で、面白いと思う。
日本モノは、一歩間違えると、書割のベニヤ板感が拭えない背景になってしまいがちですが、今回はそういう風に思えなくて、とても感情移入できました。
阿国一座の華やさ
晴音アキ はーちゃんがいつも威勢の良い歌で、みんなを引き連れ、お芝居の進行をしてくれてたなーと。
はーちゃん、背が小さくて可愛いので一瞬見逃しがちですが、声で分かります!お姉さんになったなーと感慨深かったです。
日本モノに、祭りや一座、花街はつきもの。舞台を華やかなものにしてくれます。今回もいい具合にエッセンスが入っていました。
お通の笛、太夫の琵琶、朱実の鈴
ね?これだけの素敵な音色が舞台を癒し、心を掻き立て、郷愁をそそる物があるのです。
美しい、日本モノって本当に美しいなと思います。
NOW ONでは、実際に笛や琵琶のお稽古をしたとか。さすがジェンヌ。お三味線のお勉強を学校で習う位ですから、プロですよね。
カラスのコロスがいい
カラスのコロスの使い方が、不気味さを醸し出して、武蔵の残忍さ、戦うものの儚さを表現していたと思います。舞台の場面変換のため、幕前芝居が何度か必要になるところもあり、カラスが。。。頑張って踊ってました!きっと下級生たちなのかな、がんばれ~。
巌流島対決の演出も、いい
対決シーンは、銀橋に来て魅せてくれました!!ちょっとおっかない、ハラハラドキドキ。
でもやっぱりここは銀橋でしょう。サイトー先生、ありがとうございます!
もっと頑張って欲しい所
殺陣の研究を求む!
私の殺陣の基準って、
早霧せいな ちぎの殺陣
北翔海莉 みっちゃんの殺陣(チェストー)
なんですよね。ハードル高くて、スミマセン。
2人に共通しているのは、
腰を低く、溜めを大事に。
そして、顔芸です。エイやぁー!って時の顔。気迫がこもっている。息もできない程の。
『JIN』の最後に果てる坂本龍馬。そして『桜華に舞え』で華々しく散っていく桐野様。
はぁー、思い出すだけで胸が痛む位、私には心に残る名場面なのです。日本モノとはそういうもの。
『るろうに剣心』の四森青紫の二刀流も、ちょぉぉぉカッコ良かったよ、月城かなと~!
切られ役の研究も頼む!
切る方より、切られ役の方が大切。世界の切られ役者・福本清三さんが有名です。
思いっきり切られて、うぎぁ~~ってなってるのをみて、主役は引き立つもの。
だから70人斬りの時も、吉岡一門がうぎぁ~~ってなって欲しいのです。まるで専科さんのように。そうすると、武蔵恐るべし!!って観客にわかります。
小次郎の果て方
武蔵小次郎の因縁の対決感が、公演を重ねるごとに、また観ている観客の気持ちも高まってくると、もっともっとヒリヒリするような感覚を覚えるようになるのかな~。
サイトー歌舞伎の中毒性
男性のお客様も多かった気がします。吉川英治の武蔵ファンの方もいらっしゃるだろうし、武蔵の物語や、五輪の書や色々な面で造詣が深い武蔵ですから、様々な角度で観てみると深みが増すというか、面白さも変わってくる作品だといいなーと思います。
武蔵の絵で有名なのがこれ。墨ですぅーーっと一筆で書いた細い木にとまる鳥。「枯木鳴鵙図」
いい絵だなぁ…
さて、珠城りょう、美弥るりか という、宝塚無双の2人が、こうやって濃い芝居で絡む事が奇跡で、この真剣勝負の舞台を、一瞬一瞬、大切な宝物のような時間を過ごしてもらいたい。
また観に行くぞー。
東京に来て、更に進化していると、私は嬉しいです。楽しみにしています。
ただ、くれぐれも、怪我だけはお気をつけくださいませ!
グランステージ
『夢現無双 -吉川英治原作「宮本武蔵」より-』
脚本・演出/齋藤 吉正
宝塚大劇場 2019年3月15日(金)~ 4月15日(月)(千秋楽はライブ中継)
東京宝塚劇場 2019年5月3日(金)~ 6月9日(日)