『フライング サパ』感想2 ポルンカの不協和音 引っかかるキーワード
『フライング サパ』の物語は、地球上が混乱し、水星・ポルンカで生きるための科学技術を身につけ、お金のある人と科学者、選ばれた人だけが難民船に乗ってたどり着いた人たちのお話。
新しい秩序を作って、誰もが公平な社会を目指し、幸せに暮らそうと。
SF映画や漫画でも、地球人が惑星で生活をする話があります。そう簡単に幸せな秩序を作れる訳もなく、「地球時代とおんなじやないかい😫!」っていう、人間のサガを感じる話を通して、人間とは、私たちの暮らしとは、気づきを与えてくれるものがあります。
上田久美子先生の物語で、引っかかったキーワードをピックアップしました。
まだ一部分しか理解できていないと思うので、あくまでも個人の興味を整理するため。
SF的公平な社会のため
ポルンカ語
一番衝撃だったかな。自国の言葉を捨て、世界共通言語・ポルンカ語のみを話すこと。地球上の歌は禁止。
確かに、国籍民族に関係ないし、言語習得という面倒な作業は無くなる。
でも、何か恐怖を感じます。自分のルーツを消すことになるし、そして思い出や記憶、嫌な事は科学技術で消すことも出来るし、まさに、空っぽになっちゃう。そんな感じになるでしょうね。
へその緒
象徴的な言葉です。命の源。
栄養に代わるものを自己繁殖できる装置(手首の緑ランプ・スマートウォッチみたいなもの)を身に付けている。食事しなくていいのね。個人ID管理もこの装置で行われているはずで、電波の届かない所では作動しない(のか?)。
便利ですよ、便利を通り越して、全て行動監視下に置かれている状態ですよ。
現実世界で、実際に向かっている方向性ではあるんです。
監視したいのが目的ではなく、当初は人間という肉体には限りがあるので、優勢情報を選別して永遠に残したい、理想を目指したいということから、結果こうなってるのでしょうか。
ミンナ(データベース)
”へその緒”から吸い上げた個人の行動履歴、思想、思い出も全てデータとして吸い上げ、データベースに蓄積しています。ここにアクセスできれば全てがわかり、全知全能の神様みたいになれるんじゃないかな。
どうやって??って思うでしょうが、全てがデジタル化できれば可能に近い。例えば皆さんの思い出は、位置情報とスマホの写真に残り、会話は音声データとして残り、思想はSNS上の発言や履歴に残る。
そして専用装置により、人の記憶を自在に消したり植え付けたりできるようです。
大切なデータが壊されては困るので、ミンナの所在は隠されていた。が、実は灯台下暗しという話。
クランク(反社会分子?)
ジャンクフードを食べすぎる子供、子供を叱り過ぎる母親、差別思考のある人たち。
確かに良くない、悪い人、かもしれませんが、一刀両断切り捨ててしまっては…。
そしてポルンカの兵士は、間違った意識に向かないよう守ってる。犯罪を起こす前に、意識レベルで正す。
洗脳じゃないですか…。確かにクリーンになるかもしれないけど、違いが罪となってしまう。
88日間(2112時間)
88という数字は、何となく無限、末広がり、仏教的な意味もあるかもしれませんが。
水星では、日が昇って沈むまで88日間かかるわけですね。軌道のせいかな。
のーんびり(何も考えず)眠って起きて、行動すればいいのかなあ。お休みたーっくさん取ればいいのかなあ。
ひとまず引っかかるキーワードは以上です。
既に思い当たる節がある
21世紀、世界中で、全てに関して思い当たる節がありますよ。SFの世界が現実になるのかも。人類の幸せをもたらす課題解決として、みな静かに賛同していくのかな。
でもポルンカでは、どうも違和感がぬぐい切れなくて。謎のクレーター・サパに人が集まり、願掛けしたくなって、再び争いが起きてるようだ。
そうすると人はどうやって希望を持って生きればいいのか。
個人的にはヒントが1つ2つ、見えた気がします。