『蜘蛛女のキス』石丸幹二&安蘭けい 感想 モリーナの愛 蜘蛛女の威厳 この世はSHOW 最高です!!




待望の上演、ミュージカル『蜘蛛女のキス』でございます😆😆😆。しかも素晴らしいキャストを揃えてくれました、ホリプロさん!

リピーターチケットを買うのって、久しぶり!これは1回じゃもったいない。千秋楽近くのチケットをゲットしました👍。

個人的にはブロードウェイ版CDを何度もリピートしていたことを思い出し、曲と日本語版の生の舞台を久しぶりに答え合わせ出来ている幸せ。体がノってしまい、一人揺れていたのは私です😅。

このジャケットデザインがカッコイイでしょ~。

理屈抜きの大好き異色ミュージカルの一つです。マイナビさんより。

簡単なあらすじ※ネタバレあり

ラテンアメリカのとある刑務所。
同性愛者(おかま)のモリーナ(石丸幹二)は、未成年云々で刑期中。同室に入って来たバレンティン(村上/相葉)は、革命政治犯の重要人物。この刑務所は政治犯の仲間が大勢いる。所長(鶴見慎吾)は、バレンティンに情報を吐き出させるため、モリーナに協力を促す。おかまのモリーナならではの、世話焼きで、空想好き、男性好きな所を利用する魂胆。

モリーナの母(香寿たつき)は、唯一の理解者。映画館で働いていたため、モリーナは大の映画好き。特に女優オーロラ(安蘭けい)のファンで、刑務所の中でいつもオーロラの映画物語を空想し、現実から目をそらしてやり過ごしてきた。

※ここで、オーロラの映画再現シーンがショーのように沢山登場します。早変わり8回😃

唯一嫌いな役が(たしか?)蜘蛛女(安蘭けい)。彼女がたまに刑務所内に登場し、彼女のキスを貰うと、その人は死んでしまいます。

バレンティンが毒入りご飯の罠にハマってしまい、上からも下からも(失礼)大変な事になって、モリーナがまるで子供の世話をするように看病してあげる。これによって、医者にモルヒネを打たれず(注射って危険よね)口を割らずに済む。このことからバレンティンはモリーナに心を開き、愛が芽生える。

バレンティンに恋するモリーナは、のらりくらり情報を漏らさず頑張るが、大好きな母との面会を約束され、模範囚人として仮出所する事となる。

最後の夜、バレンティンはモリーナを愛している代わりに、出所したらある人に伝言をして欲しいと頼む。革命に巻き込まれたくないモリーナ。でも愛するバレンティンのために成し遂げたい、そして所長から尾行されるだろうという事もわかっていて…。

モリーナは最後まで悩むが、バレンティンのために彼の恋人マルタ(小南満佑子)に伝言を伝える。それが見つかってしまい、🔫バーン…。

あら?そこは天国?映画館?全てのキャストが席に座り、白いスーツのモリーナのショーを楽しむ風景が。

皆で笑いながら、楽しみながら、人生のショーがフィナーレとなります。最後のクライマックスは、モリーナへ蜘蛛女からのキスを!

 

見どころポイント

辛い現実と妄想の世界 何とも言えない空気感

初めて観た時は、なんて男臭い、荒々しい刑務所のお話なんだと思いました。政治犯の血気盛んな、筋肉隆々の若者達。そんな中に風変りなブティックに勤める男性(おかま)。一人映画の妄想の中で生きている、不思議な空間。

頭オカシイんじゃないの?って思ったけど、モリーナは賢い。映画の幻想の世界を味方に、この汚い辛い環境を生き延びている。モリーナの映画の世界は最高!バレンティンをも虜にしてしまう。

ラテンアメリカの陽気な音楽とダンサー達。このアンバランスさがサイッコー!!です。

囚人達がダンサーになったり、南国のアマゾンになったり、物語のロシアになったり、このセンスがたまりません😍。
革命や戦争の辛いミュージカルは沢山あるけど、ここまで振り切っていると、戦争って、犯罪って、なんなの?SHOWなの?って訳わからなくなります(笑)。

映像やラテン楽曲でノリの良さを体感

沢山の素晴らしいナンバーが続きます。中継CDをリピートしたくなる位、ノリが良くてキャッチーな歌詞がたまらない。ラテン系のパーカッションの音や、サンバ風なダンス等、底抜けに明るい。

ドレスアップ♬ (モリーナ)
Where you are(夢の中なら)♬(オーロラ)
Kiss of the spider woman♬(蜘蛛女)

俳優さん達は歌唱が大変だと思う!そこは、日本を誇るミュージカルスター石丸幹二さんと、宝塚の元トップスター安蘭けいがお送りしますので、素晴らしいんです。そしてバレンティンはファルセットが効いてる叫びの様な力強い歌。これまた素晴らしい。

映画のワンシーンという事で、白黒映画の女優オーロラが大きな映像で舞台の背景に登場します。とても効果的に盛り上げていて、今度は後ろから舞台全体を観たいと思います。

コーラスの男性陣も歌は上手いし、ダンスはダイナミックでマッスルパワー。このバランスもサイッコーです。「シカゴ」「キャバレー」を手掛けた作詞作曲家の作品という事で、シニカルな解釈の歌詞やダンスが超セクシー。

女性陣がなんともまあ少ない!作品なのですが、それがまた個性。大御所の蜘蛛女女王がセンターでドーンと仕切ってくれます!

モリーナの生き様

モリーナという人間の素晴らしさを感じます。映画オタクの設定は、まるで自分を観ているような時もある😅。

優しいモリーナは、同性愛者という事で、母や関係者や愛した男性等を困らせたくないと一番に思っている。おかまだの、バカだの罵られても、ハイハイって受け流している(否定しない)。それでも世話をしてあげたり、楽しいおしゃべりを楽しんだり、あまり辛い理不尽な現実を見ずに幻想の中で行き続けている。

しかしバレンティンに出会う事で、罵られたら拒否するんだ!心の中の男を目覚めさせろと助言されます。

バレンティンは1人の人間として、尊厳をもってモリーナと対峙します。2人の心が通うシーンは泣けてきます。

こんな気持ちは初めてであろうモリーナは、自分の愛する人のために、心の中の男を出して、でも軽やかに巧妙に命がけで任務を遂行します。
泣けてきます、もうここは「よくやった!モリーナ!」って心の中で拍手です👏👏。

そのご褒美が、憧れのオーロラ、蜘蛛女のキスだったのではないかなと、思います。あの世の天国で幸せになれると思います。

この世が地獄、あの世が天国?

エンディングについては、え、は?って思うと思います。あれだけ辛い人生生きてきたんだもの、お疲れ様~!って思えるショーフィナーレのような終末。

きっと演劇通の方であれば、色々考察がおありかと思いますが、個人的には「エバンゲリオン」の最終回とか、映画「幕末太陽傳」の最後とか、宝塚『fff』の最後とか、そんな感じでしょうか。

私は今回の作品を観て、やっとこのエンディングに心から笑顔で拍手!って思えました。人生について、この世の中について、極限状況にいる彼らの生きざまを見て、もう拍手しかないって、思えました。

主な出演者の感想

モリーナ:石丸幹二

石丸さんのチャップリン・カルヴェロがとっても大好きで、今回のモリーナもそんな境地のお役だったのかなと。

見るからにハンサムで、赤いスカーフがお似合い。美的センスのある素敵なモリーナ、そういう印象でした。そして”おかま感”ばかりが目立たず、人間として強かで賢さを備え、お茶目な部分も併せ持ち、誰からも愛されるモリーナ像を感じました。

個人的には、バレンティンの介護するシーンが、泣けてきた。あそこまでやってあげられるって、

あなた、天使なの!?

たまにそう見えました。そう、モリーナは天使のような存在です。あー、またあのモリーナの最後の最高の笑顔に出会いたいと思いました!

蜘蛛女/オーロラ:安蘭けい

宝塚元トップスター安蘭けいが演じるのは、死の女王(某ミュージカルのトート閣下のような)の蜘蛛女と、想像の中で登場する映画女優オーロラ。

今のとうこさんで演じるピッタリの年齢設定でもあったと思います。円熟味が増し増しの、スパイダーウーマンの威厳!低音が響く会場を包む歌唱。最高でした😍!

そしてオーロラはコケティッシュな面もあるので、そこはとうこさんの十八番。とってもチャーミングな笑顔。モリーナを励ます女神は、威厳だけでなく大人チャーミングな魅力もあって、可愛かった。

私が好きだったのは、もちろん蜘蛛女がNO.1ですが、例の、あの白いタキシードで男性陣を引き連れてのダンスは、やっぱり宝塚時代を彷彿とさせ、感動しました~。緑色の鳥のキラキラ衣装もサイコーです😆。とにかく衣装を観ているだけで楽しい。

いや、衣装だけではない、やっぱりスパイダーウーマンの歌は、凄味が、すごい。あの雰囲気を出せるのが凄いのです。

バレンティン:相葉裕樹/村井良大(Wキャスト)

政治犯の男達は、どなたも皆、屈強な男達。男臭さ(イメージね)がたまらない。その中で、誰よりも意志が強く、絶対口を割らないバレンティンが登場します。

Wキャストで、村井さんバージョンでした。
モリーナとの対比が面白くて、はじめは全然似合わない2人。共通点が一つもない感じ。触るな!この一線を超えるな、バカにされて悔しくないのか?そんな感じ。

アニタはブルジョワで、そんな彼女を愛している夢のような歌もありましたが、そこも妄想。アニタはとっくに彼を見限っていた。(もう、みんな妄想だらけ…)

最後には本当に、本気でモリーナを愛した。なのに彼を利用した、そんな自分に嫌気がさして、全力でモリーナを守ろうとする渾身の演技に、心打たれました。

パワーあふれるバレンティンを観ていると、心が強くなる。そんな気持ちになりました!歌も素晴らしかったです!

所長:鶴見辰吾

うわー、気分悪くなる…、って位憎たらしい鍵十字のリーダーのような風貌で立っておられる。

鶴見さんの所長、良かったですよ~!私がミュージカルでお会いしたのは初めてだと思います。背が高くてホワイトカラーっぽい雰囲気がバッチリでていらっしゃる。威圧感が凄かったです。

少しだけモリーナを信用し、彼の才能を見抜いていた所もあって、流石だな、情報戦だなと思わされました。

モリーナの母:香寿たつき

そしてもう一人の宝塚元トップスター香寿たつき。心優しい、モリーナの妄想で出てくる美しい母。優しくて歌も美しく、何度か登場します。

モリーナの年齢を考えればちょっと綺麗すぎる?そう、妄想の母は常に美しく、後半、釈放されて帰って来た時には、もうお婆さんのようでした。一人では寂しいと訴えます。

最後までモリーナを信じて背中を押す母、最高でした😭。

幻想に生きるモリーナ、現実を見るバレンティン

パラレルワールド感満載のこの物語、どっちが正しい?というよりも、どっちがハッピー?どっちが酷い?で考えていいんじゃないかしらと。

辛い獄中の中でも、優しさやいたわり合いがあり、人をかばう真実の愛がある。

そして犯罪者と刑務所職員たち。どっちが正しくて、どっちが間違っているのか、正直人間としての品性や志を考えると、逆じゃないかとすら思う。

そう、その感覚こそが、真実ではないかと、このミュージカルで感じる事があった。

この世の中は地獄のシナリオが多すぎる。真実を突き詰める人ほど、辛い目に合っている気がする。現実を見る目、NO!を言う心は大切だけど、その現実は真実なのだろうか。現実の全てがSHOWなんじゃないかしら…。

どんな世の中でも、愛する者を愛し抜く。そうすれば、最高のご褒美が待っている気がする。

 

ミュージカル
『蜘蛛女のキス』
上演時間:第1幕95分、休憩20分、第2幕60分(合計約2時間55分)

東京芸術劇場:2021年11月26日~12月12日
梅田芸術劇場:2021年12月17日~12月19日

脚本:テレンス・マクナリー(マヌエル・プイグの小説に基づく)
音楽:ジョン・カンダー
歌詞:フレッド・エブ
演出:日澤雄介(劇団チョコレートケーキ)

主な出演者:石丸幹二 安蘭けい 相葉裕樹/村井良大(Wキャスト)鶴見辰吾 香寿たつき 小南満佑子他

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