花組『殉情』帆純まひろ&朝葉ことの 配信感想 暗闇は2人だけの尊い世界 垣間見るエロス




今まで『殉情』を観る勇気が無かったのですが(余りにも辛すぎるので)、今回配信で花組 帆純まひろ&朝葉ことのペアの殉情を、遂に視聴する事となりました。

まずこの”殉情”とは・・・”感情のおもむくままに自分をゆだねること” という意味だそうです。なるほど🤔。

谷崎潤一郎「春琴抄」のお話で、宝塚版『殉情』は、現代の大学生の男女と教授が、明治時代の丁稚・佐助と目の見えないお嬢・春琴のお話を辿りながら、自分探しの動画配信や、愛する人の事を考えたりしていきます。

まずはお芝居冒頭の、Youtuberマモル👨希波らいと)の登場と、あーちゃんの面影、懐かしい!恋人・ユリコ👩(美里玲菜)、そしてガラケー片手に登場の石橋先生(紅羽真希)お三方の設定がかなりリアルで、こっちのお話が気になって気になって😅。
結構いい事言ってたんだよな~。現代の大学生のリアルな会話っぽくて、親戚の男の子を連想してました。本当に今の子って「まじめかっ」って感じなんですよね。

簡単なあらすじ※ネタバレあり

大阪薬問屋の丁稚・佐助(帆純まひろ)は、幼い頃に盲目となってしまったお嬢様・春琴(朝葉ことの)の杖替わりとなり、何から何までお世話をしている。父 安左衛門(羽立光来)と母しげ(美風舞良)がお琴を甘やかして育ててしまい、器量は良いが勝気で我儘。そんなこいさん(春琴)に佐助は心を寄せている。

佐助はとても丁寧にこいさんの手を引き、履物を吐かせ、爪を切り、寒い夜は足を胸で温めてあげる。あ・うんの呼吸で、恥ずかしさやいやらしさを感じる事なく、しかし、そこはかとなくエロスを感じさせるシーンの連続である。

春松師匠(舞月なぎさ)の稽古のお供で、こいさんが琴を弾いている横で、エアー三味線の練習をする佐助。
丁稚の分際で三味線だなんて…、でも心の中でこいさんと一緒に演奏をする夢を描きながら、夏は暑い押し入れで、冬は眠気覚ましに干し物台で、隠れて夜中練習を重ねていた。こいさんは薄々気づいていて、佐助に直々にレッスンをする事になる。これがかなりスパルタで、ちょっとヒステリー気味…でも佐助は必死についていこうと頑張る。

父と母は、身分違いではあるが、佐助と春琴が所帯を持って一緒にこの店を継いでほしいと願っていた。まんざらでもないはずなのに、プライドの高い春琴はそれを認めようとしない。あくまで丁稚の佐助であって、伴侶なんてとんでもないと(心にもない事を口にしてしまう、女心?)。

そんな中、なんと春琴に子供ができる…。佐助の子供だと2人は絶対に認めない、公言しない。この境地は一体なんなのだろうか?両親は呆れる。隠れて有馬で娘を出産するが、春琴は里子に出して欲しいという。
「こいさんの心に鬼👹が住んでいる」と、その境地は佐助でさえも知る由が無かった。全てこいさんの事は理解していたつもりだったのに…。

2人の噂は店の中でも隠し切れない状況となり、両親は2人を淀屋橋の家に住まわせ、お師匠「春琴」として生徒さんを取って生活をスタートさせる。

恋に邪魔者はつきもので。金持ちぼんぼんの利太郎(峰果とわ)は、芸者遊びで金使いが荒い嫌み~な男。美しい春琴に一目惚れで、ずっと春琴を狙っている。佐助なんぞに渡す物かと。

ある日、春琴と佐助を誘い出し罠にかけようと、芸者のお蘭(詩希すみれ)達に頼んで、利太郎の別荘で梅見の会を催す。春琴に演奏を頼み、お蘭には佐助に色仕掛けで誘惑し、利太郎は春琴を連れ出す計画だったが失敗。懲りずに訪ねてきた利太郎に三味線の稽古をさせる春琴。下手くそな利太郎をヒステリーでバチで頭を怪我させる。。

利太郎の怒りMAXから、ある夜、就寝中の春琴の顔に、熱湯が掛けられる事件が起こる。

美しい顔に大火傷🔥を負ってしまった…。

春琴は、自分の醜い顔を、佐助だけには見られたくないと、佐助を遠ざけるようになる。初めはそんな女心を佐助は理解できなかったが、こいさんのお世話は自分にしかできないし、ずっと傍に居たいと願うあまり、ある事を咄嗟に思いつく。

佐助は、縫い針で自分の両目を刺す。こいさんと同じ盲目となったと、春琴に告げる。
美しい顔の記憶のままで、佐助も暗闇の世界で生きて行く事になると。

春琴は、佐助、おおきにと、泣き崩れる。

こいさんと同じような災難を私にも下さいと、神社でお祈りしていた所、神が下された災難は、佐助も盲目になる事だった。今までのこいさんの苦労が理解出来たと、嬉しくも思う佐助だった。春琴もやっと素直に佐助に気持ちを伝える事ができた。

この2人にしか理解できない世界、だろうな…。

クライマックスは目を刺す場面 佐助と春琴の世界

佐助が目を刺すシーンは、やっぱり直視できずでして。
ワーワー(怖いぃ)言いながら、目を顔で覆いチラチラしながら観てました😖😭。劇場じゃそんな風にできないよね、配信でよかった。

残酷なクライマックス・シーンですが、照明の感じとか、目を大きく見開いて針を刺そうとする仕草。かなりセンセーショナルで、ドラマティックでもあり、エロスをも感じる。究極の愛の形とでもいうか。

こんなにも辛い思いをしたのに、春琴はおおきに、って…。ゴメンナサイ、じゃないのかね?ちょっとビックリしたのですが、春琴が正直に思った事、なんでしょうね。

愛する佐助の前だけは、美しく誇り高い春琴で居たかった。2人の”お嬢と丁稚の関係”が尊くて、ずっとそうありたかったのだろうし、佐助もそこが好きだったのかもしれない。2人が結婚しなかったのはそんな事なのかなぁと。所帯じみたくない、いつまでもファンタジーのような2人の世界を崩したくなかったのかなと。。

佐助は献身的と言いながらも、こいさんのお世話は自分にしか出来ない、全ては自分が良く理解していると、どこか慢心している瞬間も垣間見れる所がある。いけない、いけないと、自問自答して、あくまでも丁稚の自分の立ち位置を崩さないようにしている。

このあたり、2人でしか理解ができない世界で、2人が得た暗闇によって、耽美な夢のようなファンタジーがずっと続く事になるんだろうなーと。私達の感覚では考えられないけど、2人にとっては幸せな結末だったのでした。

常に2人だけの世界、お琴の音色、鳥のさえずり、臭い、五感で愛する2人。現代の大学生では想像もつかない世界だと思います。でも、他人の評価ばかり気にして、自分を見失いがちな若者にとって、佐助と春琴の究極の愛から、何か感じるものがあったのでしょうか。そんな結末のマモル&ユリコさん、だったと思います。

主なキャストの感想

佐助:帆純 まひろ

バウ初主演!🎉帆純まひろ演じる佐助。まずは一言、言わせてください!

イイ男顔だわ~。本当に丹精なお顔✨

配信の大画面で、ずっと、ずーっと観ていられる、観ていたいお顔ですね😊。

素直で曇りのない、こいさんへの深い深い愛💗。佐助の細やかな所作や配慮が表情に出ていて、とても素敵でした。利太郎に対する嫌悪感の顔も、また素敵。

芝居は申し分無いホッティーでしょう。お歌もしっかり、聞かせてくれました。最後のクライマックスまでの盛り上がりと静けさは、やはり涙を誘う😢。これからもホッティーのお芝居、見せて欲しいな~。

「銀ちゃんの恋」の橘が良かったんですよね。同じく日本物の佐助は、着流し姿に三味線演奏が美しく、少し肩の力が抜けた、時に控えめに、静かに佇む丁稚姿が好印象でした。

ご挨拶の際、組長のあおいさんに、佐助!って呼ばれた時は、なんか嬉しくて😢。
佐助って呼びたくなる位ハマっていたホッティーにとって、大切な大切なお役で、失う(上演できなかったらどうしよう)のが怖くなる位、没頭しのめり込んだ作品だったのでしょう!

春琴:朝葉 ことの

このお役は、物凄くパワーが要ると思います。普通の娘役では乗り切れない。勝気で我儘で、いけずな高圧的お嬢様でないといけない。遠慮なしでガンガンぶつかっていく、ちょっと膨れっ面が可愛い😊パワフル春琴だったと思います。

可愛いお人形みたいで、常に豪華な振り袖姿。喋り出したら止まらない、ヒステリックな所は、女心よね~と、ちょっと可哀そうかな😟って思う所もあった。同情されたくない!って思うほど、逆に同情しちゃうというか。

ことのさんの春琴。ピッタリだったと思いますよ~😃。本当にお人形さんみたい。

たまに見せるクスっとする笑顔がレアなシーンで、私も佐助じゃないけど(笑)物凄く愛おしいと思いました。こいさんを笑わせたいって思っちゃうかも。もし目が見えていたら、いつもこうやって笑いながら、佐助と楽しくしていたのかな…。いや、目が見えなかったからこそ、佐助はずっとお供が出来たのだ…複雑だなぁ🤔。

佐助に手を引かれて歩く2人の姿は、何とも言えない気持ちになります。尊いです、そう、尊いって思いました。梅見の会で、佐助と二人演奏するシーンがありますが、あそこがとても美しいシーン。いつの間に共演できてるやん!って胸が熱くなり嬉しくなりました。

ああ、愛おしい2人。愛おし佐助と春琴。でございました!

利太郎:峰果 とわ

利太郎・・・・・・

流石でございました!ゲテモノ感が最高👍

彼女ならではの利太郎ですよね😃。髪型、メーク、服装、扇子、草履の脱ぎ方の派手な事(笑)。毛皮の毛並みが美しい~。どこか品もあったりして、彼女からは本当に目が離せませんよね。
劇場で利太郎ロックオン、したかったなぁぁ👀!宙組バージョンでは、寿つかさ組長が演じてたんだ(驚)。

いつも私の期待を裏切らない、芸達者ぶりを見せてもらいました。

そしてとっても目を奪われたのが、芸者のお蘭 詩希すみれ。めちゃくちゃ美しい芸者さん✨。踊りも歌も最高!これから注目だなー。太鼓持ちの千吉(天城れいん)は、利太郎に負けないようにハッチャケてましたね!

番頭さん(高峰 潤)が、本当にめっちゃ怖くて😳、なかなか骨太な男役さんが花組にいるんだなーと認識しました。元気ハツラツ おきみ(鈴美梛なつ紀)&およし(稀奈ゆい)のオーバーアクションも良かったな。

 

見るのが辛いと思いつつも、見終わってみると見どころ満載だった、名作『殉情』。W主演で今の花組メンバーで再演されたことに、とてもご縁を感じますね。あおいさんも当時も出演してたんですね!14年前の宙組 早霧せいな&蓮水ゆうや版を、ようやく見てみようと思いました。スカイステージ、録画してある。

そして、谷崎潤一郎の描く、日本の美しさの中にある耽美な世界、繊細でエロスな描写。こういった愛の世界、魅力があるんだなと知りました(ただの変態オジサンではないんだと😋)。

 

ランキングに参加しています。
ぜひクリックお願いします。
にほんブログ村 演劇・ダンスブログ 宝塚歌劇団へ
にほんブログ村

PVアクセスランキング にほんブログ村