NHK BS 宙組『天(そら)は赤い河のほとり』感想 神アングルに感謝
NHK BSプレミアム
●3月25日(月)24:45~27:25
宙組『天(そら)は赤い河のほとり』『シトラスの風-Sunrise-』ミュージカル・オリエント
『天(そら)は赤い河のほとり』原作/篠原 千絵「天は赤い河のほとり」(小学館)脚本・演出/小柳 奈穂子
天は赤い河のほとりは、真風涼帆&星風まどか お披露目公演。人気漫画が原作で天(そら)ってことで、宙組がやらずにどこの組でするん?って感じの作品でした。
愛月ひかる あいちゃんが大ファンの漫画、組子の意気込みも凄かったと思います。
今回のNHK BSスペシャルの天河を観て、私が東京大劇場で見た時の印象と、まるで違っていたのです。
1年前、東京宝塚大劇場での印象
詰め込み過ぎの2.5次元ミュージカルなの?
まったく知識無く観劇したので、さっぱりなんだかよくわからん状態でした・・・。
各々、きっと漫画から抜け出してきたかのようなビジュアル、衣装、だったのだろうと想像はしました。実際にまかぜーの金髪長髪はカッコいいし、衣装も豪華。ゆーりまどかちゃんは、そのまま女子高生だし。
でも、国の名前や偉い人の名前が、全然頭に入ってこなくて、さっぱりぽんだったのです。これはとっても残念過ぎました。勉強しておけよ!って自分自身思ったけど、これは勉強とかそういうレベルじゃないなと。
正直、舞台のどこを見ていいのやら、わからなかったんです。
音楽はカッコいいんだけど…
オープニングで色々な人が出てきて、音楽と共に自己紹介みたいなプロローグ。確かに豪華でした。
頭に残る音楽で、確かゲーム音楽を作成している外部の作家さんに依頼したとか。小柳先生の演出だし、そのあたりは抜かりなく、面白くなっていたと思います。
オリエンタル物の戦いのシーンって、最近でイメージできるのは同じく宙組再演『王家に捧ぐ歌』まぁ様のラダメスとアイーダです。木村先生キムシンのオリジナル演出ミュージカルなので、歌重視。戦いの場面はダンスが中心。それがかえって壮大なドラマとして私には感じましたし、感動涙したものです。
しかし今回、宝塚の舞台でジェンヌが演じる戦い・立ち回りと、ゲーム系の音楽のスピード感が合わない。なんだかゆるーく感じてしまって。んん?これは今のはいったい何?みたいなシーンがちょっと多かったのです。
私は何を観てたんだろう。。(アッキーの女役)
配役を観た時から、澄輝さやとが、なぜ女役なんだろうか。実在の人物として、絶世の美女として話題であったネフェルティティであることは重々承知だけど…。
オープニングで登場したときは、
アムネリアス様(怜美うらら)の衣装なのね。
って、衝撃をうけ、その後登場するまでに時間がかかり、気がかりで舞台に集中できてなかった…。
ネフェルティティの悲劇について、あんまり理解できず、アッキーの存在ってなんだったんだろうって、フツフツとして終わってしまったんです。(完璧、自分の落ち度です)
以上のような引っ掛かりが観劇中に沢山あり、物語に集中できず終わってしまったという、当時の印象でした。
NHK BSスペシャルの天河は…
BS神アングルで、本当の天河の面白さを知った(開眼)
録画したBS天河。ようやく見よっかな、っていう気持ちになりました。あまり期待せず(失礼)。
そしたら、BSさんの解釈による、物語を的確に、わかりやすく伝えようとする神アングルの素晴らしさを実感しました。ちゃんと何処を観たらよいのか、ナビゲートしてくれるので(笑)。
物語がすーーーーっと頭に入ってくるではありませんか。
しかも、
この話、面白い
あれあれあれ?1年前の初見とはずいぶん違う印象を受けました。主人公一人一人の背景に物語があった上で、少ない場面でしっかり印象を残し、演技している宙組組子が画面に存在していました。
主人公のカイルとユーリの、微笑ましい関係。最後にはお互いをリスペクトして、心から一緒にいる事を望み、選んだ事。
ちょい悪の芹香斗亜 ラムセスと、その家族の微笑ましいこと、カッコいい男だということ。
愛月ひかる マッティワザの過去と最後。色々全てが繋がって、いい話じゃないかぁって思えたのです。
ユーリ(まどかちゃん)という、幸運の女神を受け入れた宙組
現代日本からタイムスリップしちゃった高校生ユーリが、とっても現代的な感覚の持ち主で、新たな風を吹かせ、みんなの女神になって行く物語であるわけで。
まさにお披露目、ニューヒロインの誕生物語みたいな印象を受けました。
姿形が美しいだけでない、国を一緒に背負っていける知性のある女性を一生愛し続けたいと、妃を探し続けるカイルにユーリが現れるわけですね。そのまま、まどかちゃんじゃないですか~。
もともと漫画がそういう話でしょうけども、まるで当て書きかと思っちゃいました。最後のユーリの行動、決意にテレビの前で涙しちゃいました(ハハハ)。
2人の女帝の物語(涙)純矢ちとせ&澄輝さやと
そしてこの2人の女帝の悲恋、悲劇が戦いを生んだというお話であったことに、
今更気づきました~(私バカ)。
大変重要なお役。アッキーは、そうだったのかあ。
2人の悲恋の物語は、子供時代のエピソードが素晴らしく心を動かされました。
ナキア王女:純矢ちとせ ウルヒ:星条海斗 (子供時代 華妃まいあ& 真名瀬みら)
ネフェルティティ:澄輝さやと マッティワザ: 愛月ひかる (子供時代 夢白あや & 鷹翔千空 )
どちらの子供時代も、意思のある強い女性。だからこそ、信念を曲げずに愛のために国をも動かそうとした女。背景にある重い気持ちを押し殺して、大人時代のせいことアッキーは演技をしていた。
これまた泣けてきましてね、私。2人とも違った美しさを感じました。
せいこは、威圧感のある美しくも怖い女。
アッキーは知性があって、見た目の美しさというよりも、気高さを声で表していたと思います。
女性が強くていいね!
他に私が気に入ったのは、愛海ひかる ティコと、そのお姉さまたち。天彩峰里ちゃんが宙組異動初の登場で、ポニーテールがシュッとしててカッコよく、良かったな~。
この公演で退団だった、結乃かなり ネピス・イルラ。盲目の神事を司る女性の役で、素晴らしい存在感でした。
番外編:風馬翔の凄味
かける君は、まぁ様退団公演『神々の土地』の農夫イワンの印象が強く(鹿をひきずる図)、その流れで、牢獄の中にいるタロスが、とても良かった。他の囚人メンバーの威圧感も凄くて、このシーンだけは大劇場でも印象に残って好きな場面でした。
翔がいれば、宙組は安泰だなと思っていた。その次公演で退団になるとは夢にも思っていなかったです(涙)。
結論:面白かった!
あー、誤解したまま、勘違いしたまま、毛嫌いしなくてよかったと、思いました。
『天(そら)は赤い河のほとり』面白いよ!
真風涼帆のお披露目って、いまいちだったよねって、ずっと自分の中でシコリに感じていたけど、それは誤解で、私の思い込みとか、全然わかってなかった事とか、反省しました。
スカイステージやDVDのアングルがどうなのかは見てないのでわかりませんが、私の個人的な感想でした。
すっきりした気分で、次大劇場3作目『オーシャンズ11』に臨みたいと思います。
そして、そのアッキーとせいこさんが退団なんだなと、それも感慨深い・・・(*´Д`)ため息。