礼真琴『Le Rouge et le Noir ~赤と黒~』感想1 愛と誇りを貫く 永遠のブルジョワとの戦い




星組 礼真琴率いる精鋭メンバーで歌い上げる フレンチ・ロックオペラ『Le Rouge et le Noir(赤と黒)』のライブ配信を視聴しました🙋。

スタンダール原作「赤と黒」の、愛と誇りを貫いたジュリアン・ソレル(礼真琴)の物語を、狂言回しで芸術家のジェロニモ(暁千星)が、200年経った現代の私達に語り掛けます。

赤い緞帳の映像から、幕が上がると…

現代風にアレンジされたアートのような舞台セット、モノトーンと赤のみを基調とした個性的で素敵なお衣装で、髪型も色々全然違う。観ていて凄く楽しい😆。

まこっちゃんは初・地毛という事で、お似合いでしたよっ👍👍!
有沙瞳もヘルシーな黒いロングヘアが、たまらなくセクシーでしたよっ👍👍。

そしてそして、詩ちづるのカチューシャ姿😍。めっちゃ清楚で似合う!

コロス達が舞台装置の転換も任され、歌やダンスはもちろん、拍手したり談笑したり、パントマイムやったり、今風の外部の舞台を観ているようでした。

そういった意味で、宝塚の中では革新的というか、新しいな~と思いました😃。

そして主要キャストに宛てた、内面を歌うフレンチロックの楽曲。ああ、これがフレンチロックオペラだなあ😃

 各々の歌唱力、二重奏、三重奏の素晴らしさを体感しました。

宝塚版「赤と黒」がありますが、このお話って、難しい🤔。個人的には理解し難いと、前から思っていましたが、礼真琴のルージュ・エ・ノワールで、ジュリアンが何と戦って、最後に何を得たのか、何となーくわかった気がしました。それを感想に書きます!

簡単なあらすじ※ネタバレあり

大工の息子のジュリアン・ソレル(礼真琴)は、レナール(紫門ゆりや)と夫人ルイーズ(有沙瞳)の子供達の家庭教師として雇われる事になった。
知識こそ、庶民であるジュリアンの武器だった。

レナール家の家政婦エリザ(瑠璃花夏)は、若いジュリアンに恋をする。
ルイーズに相談し、仲を取り持ってもらうはずだったのに、ジュリアンはルイーズの方に愛情を感じていた。

ブルジョワの彼女への愛を、憎みながらも征服したい。捨て犬のような猜疑心に溢れる目。
ジュリアンは心の葛藤をルイーズに告げる。純粋なジュリアンの魅力に、ルイーズも恋に落ちてしまう💕。

レナール家の友人でライバルでもある、ヴァルノ(ひろ香 祐)と夫人(小桜ほのか)は、優秀な家庭教師ジュリアンに興味を持つ。うちにも来てもらえないかしら~パリで秘書の仕事があるんだけど…。

女癖の悪いヴァルノは、ジュリアンとルイーズの関係💕をエリザから聞き出し、旦那レナールに2人の情事を伝えてしまう😈。

ルイーズは咄嗟にブルジョワのメンツを保つため、ジュリアンは自分達を利用したと😳、急ぎ屋敷を出て、パリの仕事に就くようにとまくし立てる。ジュリアンは裏切られた。
(なんだよ~、お前も同罪じゃないか…😵。さすがの演技力・ルイーズ)

第2幕。ジュリアンはパリのラ・モール侯爵(英真なおき)の秘書として働く。
ラ・モールの娘マチルド(詩ちづる)は、気高い祖先のような男性を探している、知的な女性。

ふとナポレオンの名を口にしたマチルドに、ジュリアンは食いつく。
マチルドの夜中の誘いに、名誉のため応えたジュリアン。マチルドは、彼の勇気と気高さに好意を持つ。

友達となった歌手のジェロニモ(暁千星)の指南で、ジュリアンはフェルバック夫人(白妙なつ)にラブレター攻撃。モーションをかけ、嫉妬心をマチルドに植え付ける。
結果2人は愛している事を再確認💕。マチルドはジュリアンの安らぎだ(そして、出世の道具でもある)。

妊娠したマチルド。ラ・モールはジュリアンを息子として受け入れようと決意していた。

が、またもやヴァルノ夫妻の策略😈😈で、罪の意識で疲れ果てたルイーズに対し、”ジュリアンは最悪な男です!”みたいな手紙にサインをさせる…。(あー、せっかく上手く行きかけたのに)

嘘の手紙に殺意を覚えるジュリアン、ピストルでルイーズを撃つ😱。
幸い弾は急所を外したが、牢獄に入ったジュリアンは裁判に臨む。夫の無実を晴らすため、あらゆる手段を使う献身的なマチルド。

しかし、ジュリアンは最後にありのままの気持ちを証言する。

今この瞬間、丸腰の自分に向き合う事が戦いであり、誇りを守るため未来の自分と今を交換し、死を選ぶと。
自ら考察した2つの罪は、1.持たざる者の罪、2.愛を望んだ罪 であると。

ここは感動の証言だった🤔。頭のいいジュリアンが自らに下した判決。実に潔く、カッコイイ。

ブルジョワにはそんな勇気なんぞ無かろうと、誇り高く死を選ぶジュリアンだった。2人への愛と誇りを貫き、戦いを制覇したのだ。

そんな感じだったかなと。

3日後、ジュリアンは処刑された。

マチルドはジュリアンの首を埋葬し、ルイーズは後を追うように亡くなった。

ヨーロッパのブルジョワと庶民

海外ミュージカルでは、格差社会の描写をかなり誇張して表現していて、日本ではそこまでエグらない、もしくは表に出さない内容が結構ある。

この作品も、ブルジョワの貴族と一般庶民の格差について、はぁ😲?って位に辛辣に、滑稽に描かれていました。きっと、日本に住んでいると、そこまでの差別待遇って経験少ないんじゃないかな…、気づいてないだけかな。。あまり分からない感情でした。

でも最近、個人的にはその格差に対する感度が高くなってきた?みたいで。ジュリアンの屈折した気持ちの原因がまさにこれで、ヨーロッパの方々の心の中に常にあるモノなのかも、と思ってきました。怒りが原動力。

フランス革命後、ナポレオンによってフランス人の誇りを取り戻した、200年前のフランス。結局、ブルジョワと庶民という格差社会は続いていた(続けていた)。

ブルジョワは働かない。戦わない事が、戦い。
威厳を保つために見栄を張り、出来る人間を見つけ、騙し、搾取し、愛とは無縁な関係の中で生きて行く。

大工の息子とは、まさにキリストですね。聖職者となる事しか出世の道が無かったジュリアン。
ラテン語の聖書を丸暗記する位(←ここの歌は超カッコイイ😆!!)、優秀で真っ直ぐな青年。
ブルジョワには無い魅力で溢れているので、すぐ彼らに利用されそうだ…。

ジュリアンはとても人間らしい人だと思う。

怒りの感情も持ちつつ、光を放つ瞳のルイーズに恋焦がれ、1人の男としてその愛を征服したいと思う。
そしてマチルド。そりゃ、出世に道具になるかなって考えるでしょう。マチルドと安らかに暮らしたいと願った。

それが罪だったのか…。庶民は望んではいけないのか…。くそだ、ブルジョワ人よ。

200年前の物語が今でも愛されるという事は、現代も同じような戦いが続いているってことかなと。

フランス版もみたい!って思いました。

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