『応天の門』感想2 この世は馬鹿ばかり? 才ある者が工作する各々の理想へ
馬鹿とは、鹿を与えられ、馬と答えなきゃならぬ空気に押され「馬です」と言った逸話から来た言葉と聞いた。
不都合な真実に目を背け、偽りを認めず勝利者に付き従う人生もあると思う。それも工作、策である場合もある。
東京で何度か観劇が叶い『応天の門』を楽しんでおります。
才だけあっても、人を動かせなければ事は成しえない。もっと人の心に向き合い、相手に寄り添って物事を知ろうとしなくては、理想の国を作りたくても、絵に描いた餅だ。
月組の『応天の門』には、さまざまな境遇の才ある者が登場し、各々の大切なもののために奮闘していた。
菅原道真:月城かなと
とにかく頭が良い。理路整然。若干、皮肉屋だね?(上から目線)
菅原の3男で、兄よりも才があり(兄・吉祥丸(瑠皇りあ)は凡人だった)、兄が藤原に殺された恨みを忘れずにいる。
自分は出世に興味はない。独りいろいろな学問を頼りに、生きづらいこの世を理想の国にしたいと、特に応天の門内の政治を垣間見て、目覚める。
在原業平:鳳月杏
ルックスは抜群、検非違使の長。彼が重きを置くものは、愛でしょう。
愛する人への思い、民への愛、文化への愛。愛を知る者は、個人的には最も才ある者だと、思うんですよねぇ。最後は、愛じゃないかなと。
藤原基経:風間柚乃/藤原高子:天紫珠李
才あるがゆえに、父に捨てられ叔父 藤原良房(光月るう)に抜擢され、養子となる。妹の高子と共に。
高子もまた、「それこそ、藤原よ」と言わせるほどの才女である。
才など無いほうが幸せだったかもしれない・・・、と昔の思い出がよみがえる。
藤原の世で、金、権力、謀略をもって登り詰めければならない。有能すぎて叔父からストップがかかる程。自分の心に蓋をし、冷徹に事を進められる才能もまた、この世には必要なのかもしれないなあ。
この才ある者たちが、鬼を作り上げ、鬼の本質を見破り、ひとまず鬼を退治👿した。
鬼騒動をきっかけに、各々が本当に守りたいもの、やるべきことを見つけるドラマでしたかね~😀。
この鬼退治ドラマを盛り上げる、藤原に付き従う馬鹿もの?いや、藤原の世を必死に生きて居る人達。
天然か本物の天才か、帝(千海華蘭)と多美子(花妃舞音)
有象無象の公達たち
今の警察のような立場の検非違使(蓮つかさ率いる検非違使達がイケメンぞろいだこと!)
年の功、さすが道真の父 菅原是善(佳城 葵)
都で貿易をする唐の女商人 昭姫(海乃美月)と女たち。
お客と金の動きを追うのが商売、ある意味正直な人。
姉御肌で男らしく商魂たくましい、美しい女性。めちゃ強そうな用心棒・大拙(大楠てら)を置いている。
流行病の患者の女性を預かっている。こういう商売が実際にあったらしいと、どこかで聞いたことがあります。
黙っていれば平安太平の世だけども、何か事件が起こると、色々ほころびが出てくる。膿が出てくる。
鬼の仕業の流行病は、後漢製の毒の影響…。おいおい、死人に口なしかいっ!
ヤバいな~多美子入内を阻むために手段をいとわず。鬼と流行病を使った壮大な謀略😈by 基経。
何年たっても、このパターンって通用するんだな。ようやく落ち着きつつあるコロナ騒動だって同じような物じゃないかと😰。まともに対決したら、それこそやられる。皆さまも鬼にはお気をつけて…。
梅の香漂う月夜に誓う道真。
学問、愛情、策略、商い、全ての持ち味を持って連帯し、理想の世を作れるといいなあ。
人知らずしてうらみず、また君子ならずや
良いことをして、人に評価されなくても、恨まず、気にしないことだ。という意味だそうで。
うむ🤔、これはまさに影のヒーロー、シャーロック・ホームズや、ディミトリ、菅原道真、ジェームズ・ボンドあたりの境地かしら。宝塚には沢山の影のヒーローが揃っており、大変楽しい🙆。
さすが月組の渋いお芝居と、漫画のオーバーアクション(笑い)の楽しさ。
そして百鬼夜行の行列に、霊鎮めの美しい踊り、大きな月。美しい場面が沢山あり、なんといっても才ある者達の歌の情感があった。
理想の国を思う歌、愛する人への歌、幼き日の苦悩の歌、どの場面にもピッタリだった👍。
原作では、道真はもっと色々な問題を解決するんでしょうか。それも興味あり。
漫画原作の宝塚のお芝居、今回もまた大成功だったのではないでしょうかっ🙆!宝塚は凄いよね😃。