望海風斗『ドン・ジュアン』WOWWOW 伝説のミュージカル 感想
WOWWOWのドン・ジュアン。あれは3年前、2016年6月にKAATで上演された衝撃のフレンチミュージカル。まだダイモンが2番手だったけど、既にトップの風格だった。
逆に2番手という事で、自由に個性を爆発させる事ができたのではないかな?
『宝塚への招待 「ドン・ジュアン」(雪組2016年)』
6/29(土)午後1:30⇒https://t.co/nrlukKmPymスペインが舞台の伝説を、フラメンコをベースにした情熱的な名曲でミュージカル化🇪🇸
伝説的プレーボーイ、ドン・ジュアンを現雪組トップスターの #望海風斗 が熱演🕺💃#wowow #宝塚 pic.twitter.com/6z2M3nUZaz— WOWOW総合 (@WOWOW_SOGO) 2019年6月26日
もともと騎士団長殺しのこの話はあんまり好きではなく、プレイボーイがなんでこんなにもてはやされるのか、日本人の感覚ではようわからん、って感じでした。改めてみると、サイコパス?って。
主なキャスト
ドン・ジュアン:望海 風斗
しかし、ダイモンのドン・ジュアンを観たら、なんか概念が変わったんですよね。
パワーがみなぎって溢れ出ている少年
この気持ちを収める必要ってあるの?愛されるだけ愛され、生きたいだけ生きればいい。人に迷惑をかけてるとか、関係ない。本人に悪意は無い。そこが魅力的で、色々な男や女がついてくる。
最強じゃないですか?そういう人間って。ある意味、今のトップスター・望海風斗も、好きに自由に思いっきりやっていれば、組子やファンはその魅力に付いて来る状況。ぜんぜん違うけど、少し似ている境遇かもしれないって。
ダイモンの歌唱力と個性が、フレンチミュージカルを飽きさせず、全場面食い入るように観ることが出来ました。歌が多いので、途中、また歌か・・・って思う事がある場合もあるけど、ドン・ジュアンはそんな気持ちは無かった。さすがの一言。
ドン・カルロ:彩風 咲奈
咲ちゃん、歌えるようになったのね~って、幕開きにびっくりさせられたものでした。
黒塗りのスタイル抜群のスパニッシュ。美穂姉さんと一緒に歌う場面は、頼もしい。ダイモンのパワーに本気で押されっぱなし(笑)な所が、役そのままで面白い。
咲ちゃんにとっても、きっかけとなる作品だったと思います。
立派に2番手だったよ!
騎士団長/亡霊:香綾 しずる
改めてみても、このがおりの亡霊が、後にも先にも、
宝塚至上、怖すぎるスチールNO.1
(NO.2は、輝月ゆうまの宇宙人ね)
よく見ると、いろいろな表情、ロボット的な動き、結構おどろおどろしく演技をしていたのですね。またドン・ジュアンとシンクロして踊る部分は、本当にぴったり!ダイモンとシルエットが似ている、がおり。もっと2人が絡むお芝居を観たかったですね。残念!
騎士団長が登場する、円形劇場のようなセットと、タップダンスのような騎士達のダンス。あれは圧巻!!素晴らしくて、
バモーース!
って叫んじゃいました。
ラファエル:永久輝 せあ
ひとこが凄いのは、声量が足りなくても、気合で、演技で、テクニックで、顔芸で、気迫が観客に伝わってくるところ。文字通り体当たりで下級生ながらこの役を演じきったのではと思います。
ちょっとDVっぽい男。マリアを愛するといいながら束縛する青年。最後のドン・ジュアンとの決闘シーンは、なんか涙が溢れ出ました。若いって、凄いなと。
そうそう、新人公演『星逢一夜』で、ダイモンのお役でしたね。あのれい子との一騎打ちを思い出しました。あの時も体当たりで、長い手足をふんだんにつかって、迫ってくるものがありました。
エルヴィラ:有沙 瞳
はい、雪ん子カワイイ3人娘の1人。今はくらっちが星組でがんばっています。
確か、配役発表を見て、くらっちがヒロインじゃないの?って動揺したのを覚えています。
でも、舞台をみたら納得。エルヴィラは歌唱力が大事。ダイモンと同じくらい体当たりできる娘役でないと成立しない。娼婦にはなれませんと強く言いながら、最後は娼婦のように、そして相手を陥れる女と落ちていく。
黒い役、最高じゃないですか~😍。
マリア:彩 みちる
みちるちゃんが、ヒロインになったんですよね~。
その前の大劇場公演『るろうに剣心』で、弥彦を演じ、新人公演でも薫さんでヒロインを演じたみちるちゃん。演技力は折り紙つき。ここで別箱ヒロインとして、彼女もダイモンに体当たり。
元々のキャラクターが、オキャンでちょっとお茶目な、男勝りなヒロインだから、凄く良かったと思う。石造作りをする女性で、斧を振りかざしたりするから、そんな姿がみちるちゃんにぴったりだった。
歌もがんばってたと思うな~。あらためて映像でみて、好きになりました。
少年ドン・ジュアン:野々花 ひまり
うふふ、この場面が大好きで。
ひまりちゃんの子ジュアン。よく研究された、乗り移ったような登場シーンから、お母さんが死んでしまうところまで、一瞬の出来事なんだけど、この場面が強烈でした。
皆様もご存知、映像化されていない横浜KAAT版の演出は、この梅芸映像保存版とは違うのですよ。そのKAAT版は
ショッキング過ぎて、楽しかった。
お母さん好きすぎて、お母さんを襲ってしまう息子・・・。やっぱり、サイコパスね。
そんな役をひまりちゃんは堂々と、やり過ぎた?
すみれコード的に演出変更となってしまいましたが、そのくらい強烈に覚えています。彼女の役作りに完敗!そして、そのシーンがあったから、ドン・ジュアンの愛の巡礼、愛の放浪の旅が理解できたわけです。
強力な助っ人たち
他にも強力な出演者、専科から英真なおき、美穂圭子さん。
そして組の長として舞咲りんが、歌唱力でバックアップ!雪組ってこんなに歌えるのね、ミュージカルできるのねって、思ったですよ。
若手では、煌羽レオ、叶ゆうりが印象的でした。
ああ、ダイモン率いる雪組は彼女達が活躍していくのかな~って思いながら観ていたなと。
望海風斗に無くてはならない作品
望海風斗の代表作、間違えありませんね。
2番手時代の別箱って当たると最強だよね~。例えば思い出されるのは、
早霧せいなの『ニジンスキー』、明日海りおの『春の雪』、朝夏まなとの『翼ある人々』、礼真琴の『アテルイ』辺りでしょうか。
逆にそのイメージが脳裏にこびり付いて、又あれを観たい!再現して欲しい!って欲求も大きくなるので、それを超える作品を望んでしまうもの。良し悪しでしょうか。
そしてダイモンがトップとなり、伝説の『ファントム』を成功させ、今や宝塚のゴールデンコンビとしてダイモンときいちゃんは躍進中であります。
やっぱり、この作品は何度観ても面白いなと思いました。
愛によって死ぬ💔
でも、最後の最後に本当の愛が分かったドンジュアンは、幸せな最後だったのではないでしょうか?
時間があったら、もう一度リピートしよっと。
生田演出で外部ミュージカルとして再演
そして、Kis-My-Ft2 キスマイの藤ヶ谷太輔クンが、このドンジュアンを再演する事が決まっています。実際の男性が演じるドンジュアン、同じ生田先生演出だから、それも興味ありますね~。
宝塚OGは、春野寿美礼、則松亜海ちゃんが登場するそうです!
ミュージカル「ドン・ジュアン」
潤色・演出 生田大和(宝塚歌劇団)
2019年8月30日(金)~9月18日(水)
TBS赤坂ACTシアター 他 愛知にまわります。