NODA MAP『Q』A Night At The Kabuki​ 感想 ※少しネタばれ

2019年11月15日




野田秀樹最新作、まずは東京池袋からスタートで、大阪、九州にわたり、11月に再度池袋に戻ってくるスケジュールだそうです。

NODAの作品は、始めは野田秀樹の言葉遊びで笑いを誘う、奇想天外な設定から始まり、演者が声をからして縦横無尽に(野田さんご本人も)動き回っていく。

ああ、日本人で本当に良かったと、このときばかりは感謝したくなる。日本語の言葉遊びの幅広さ。面白さ。
↓スパイスさんの記事より。


朝ドラでお馴染みとなった広瀬すずちゃんを生で見れる!(おやじか)
ブラウン管でみるよりも、背が高く、バスケ部出身らしく、伸びやかな弾けるような若さ。光り輝いていた。志尊淳君も同じように美しく、上手で。

大人になった二人はお馴染みの松たか子に、既にベテランの上川隆也
二人の芝居は始めこそ設定に違和感が私的にはあったけど。。2幕目、後半はもう涙涙でした。

伏線にジワジワと気づき始め、最後にはどうしようもない辛い状況を目の前で繰り広げられる。太平洋戦争にまつわる悲劇が過去も多かったが、今回はシベリア抑留がテーマとなっていました。

これに気づいた時、本当に心が辛い。
目の前のバカ騒ぎは、実際に起こったことなんだと思うと、辛い。戦争は本当にバカばかしいことだったと思われる。
演者は一生懸命に生きている、芝居をしている。それを見ていると辛くなる。

言葉遊びの中で私にとって印象的だったポイントを。

●名前を捨てる

ロミオとジュリエットの「いっそのこと、名前を捨てたい」というくだりから、

名を捨てた人たち=Anonymous(匿名)集団の怖さが繋がり、現代のハッカー集団やSNSの炎上事件などを想像します。有名になりたい、名を見せつけたい集団と対極に居る、名を捨てた人たちの方がよっぽど怖いんですよ、世の中。

偽善者ぶる名の無いものたち。背筋が凍りました。それを平家と源氏の戦いであらわしていました。

ロミジュリが、源平の悲劇になっていた。

●届かなかった検閲をうけた真っ白な手紙。30年経って届く

幕開き冒頭で、30年前のジュリア・松さんが、ロミオからの手紙を待ちます。
受け取った手紙は真っ白。検閲をうけるため、本当のことが書けないと、手紙を託された竹中直人が口頭で説明します。

戦争で負けた、名を捨てた兵士は、捕虜となってスベリアという所へ送還されます。
この辺りから、ああシベリア抑留に繋がるのだとわかります。黒パン、黒パン。

お手紙らしき紙飛行機の束が沢山飛び交います。でもそれは日本には届きません。

最近、体験者の証言を元にした小説やドラマがあったり、ネット等に詳しい情報も掲載されています。
なぜ手紙は真っ白なのか。未だ戦後の理解が不透明なものがある。辛くなります。


そもそも、クイーンの「オペラ座の夜」からインスピレーションをうけて創作したお芝居で、クイーンメンバーのお墨付きをもらって上演にいたったそうです。凄いですね!世界のNODAなんだな~。クイーンの曲と舞台のシチュエーションが重なり、芝居が盛り上がります。

いつもの楽しいNODAの言葉遊びが好きですが、後半のシリアスなメッセージ性のある芝居への転落が、私的にはNODAの醍醐味だと思います。

1度観ただけでは理解できない、2度目に涙するみたいな感覚を、NODAファンの方は熟知されていると思われます。

東京で2回目が観れるのか~、もうソールドアウトだけど、当日券があるようです。

*ご縁あって二回目の観劇が叶いまして❗

松さんが凄く力強く、負けじとすずちゃんも何かに取り付かれているような力演。パワーアップしてました。

笑いもドッカン起こって。橋本さとしさんは何度聞いても笑える。

今回、最後に感じたのは、どんな人間でも無縁仏じゃいかん、名前が一人一人ちゃんとあるのだ。心を寄せて貰いたいのだと。寄せなくてはいけない、人として。

野田さん全然衰えませんね。絶好調です!

NODA・MAP第23回公演
Q:A Night At The Kabuki
inspired by A Night At The Opera
作・演出 野田秀樹 音楽 QUEEN
1幕95分、2幕70分(休憩15分)約3時間の長丁場。宝塚の大劇場作品並ですね。

<CAST>
松たか子 上川隆也
広瀬すず 志尊淳
橋本さとし 小松和重 伊勢佳世 羽野晶紀 野田秀樹 竹中直人

東京公演:
2019年10月8日(火)~15日(火) 東京芸術劇場プレイハウス
大阪公演:
2019年10月19日(土)~27日(日) 新歌舞伎座
北九州公演:
2019年10月31日(木)~11月4日(月) 北九州芸術劇場 大ホール
東京公演:
2019年11月9日(土)~12月11日(水) 東京芸術劇場プレイハウス

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