「ゲルニカ」PARCO劇場 感想 この複雑さは虚しい そして尊い




遅くなりましたが、PARCO劇場で現在上演されております「ゲルニカ」を観てきました。

”ゲルニカ”といえば、ピカソの有名なあの絵です。反戦のシンボルとされる悲劇的な絵。絵はアメリカからスペインに返還された。旅行した時にマドリードの美術館で見ました。

スペイン内戦の話を、早霧せいなが女性記者として参加するという事で大変興味がありました。

演出家・栗山民也さんの舞台は、調べてみると「人形の家 Part2」で経験していたが、あらためて景山さん演出の舞台を拝見したかった。

この舞台はとてもスタイリッシュで、現代アートの有名な作品を彷彿とさせるような背景の使い方、シンプルな光と影、映像。フラメンコの手拍子、足踏みの迫力。盆が回る場面展開。

冒頭、ゲルニカの民が一列に並び、月曜日♬…と日々の暮らしを歌いだす。

これが景山さんなんだーと、私の様々な好奇心のアンテナがかき乱されました。カッコいいし、面白い。

主演の少女サラを好演していた上白石萌歌ちゃん。新橋演舞場「るろうに剣心」で神谷薫さんの役でチギとすでに共演したことがあって、それ以来かな。

お話はスペイン内戦時のゲルニカで起きた無差別爆撃までについて。

元領主の娘サラは、母親の言われた通り従兄と結婚するはずだった。それは名家の血筋を正すための計画?

ゲルニカの民は、ゲルニカの木の下で話し合って物事を決める民だ。

なのに、共和国軍と反乱軍のスペイン内戦中に、スペインからの独立を胸に、バスク人の中心的な街ゲルニカの民は分断された。結果ナチスドイツ軍に爆撃されることになった。

海外特派員の男女が、スクープを得るため、事実をしっかりと伝えるため、ゲルニカに近づく。

どうして罪のない民が、無差別爆撃を受けなければならなかったのか。最後は本当に虚しい。

仕組まれていたのか、毒まんじゅうを食べてしまったのか、メンツを保つため?それともゲルニカ人を過信したのか。

とにかく戦争、内戦の原因は、とても複雑で難しい。理解し難いものがある。

これはゲルニカの話だけではない。今まさに起こっている米中関係や、中東問題しかり。誰が悪いの?答えははっきりわからないし、50年75年100年経ってようやく歴史家の研究や、過去の記録が公開されて分かる事がある。

早霧せいな演じる女性記者レイチェルは、インパクトにこだわる記事を書くのではなく、事実をしっかり伝えるべきだと言う。

女がどうしてこんなところに居るの?自問自答したこともあったが、サラがこの混乱の中、妊娠していると聞いて、光を見出す。サラのためにも私は頑張らなくてはいけないと。

どんな状況下にあっても、生まれてくる小さな命は尊い。

ラストシーンは”ゲルニカ”を見ればわかる。矢継ぎ早の映像に息を呑む。

このお芝居について、正直難しい点もあって、自分の認識があっているか自信ない。

でも、見終わった後の
「芝居観たな~~」感は半端なかった。

客席は感染対策で半分位の人数だったかな?拍手の大きさ👏、3回のカーテンコール。出演者の満ち足りた顔。
ああ、このお芝居は大成功を収めたのかなって、こちらにも伝わってきました。

レイチェルは、勝地さん演じるクリフの台詞にもあるように「カッコいい女」だったよ。記事のテロップに合わせたナレーションが、素敵な声だった。低く、しっかりとした、そして温かみのある声だった。

舞台「ゲルニカ」で全身にガツン!と、芝居の熱を味わってみてください。

PARCO劇場オープニング・シリーズ
ゲルニカ

作:長田育恵
演出:栗山民也

出演:
上白石萌歌 中山優馬 勝地 涼 早霧せいな 玉置玲央 松島庄汰 林田一高 後藤剛範 谷川昭一朗 石村みか 谷田 歩 キムラ緑子

PARCO劇場
2020年9月4日(金) ~ 9月27日(日)

京都劇場
2020年10月9日(金) ~10月11日(日)

りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場
2020年10月17日(土)、18日(日)

穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
2020年10月23日(金) ~10月25日(日)

北九州芸術劇場 大ホール
2020年10月31日(土) ~11月1日(日)

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