全ツ『モンテ・クリスト伯』主なキャスト感想2 荒ぶる神を乗り越え 遥斗勇帆 退団発表

2022年10月3日

少々時間が経ってしまいましたが、星組全ツ『モンテ・クリスト伯』について思った事、メモしておこうと思います。

衝撃的な作品だったこと

フランスの有名な壮大な小説で、原文を読んだことは無く、宝塚版モンテ・クリスト伯しか知りませんが😅、宙組初演がとっても衝撃的で冒険活劇！って感じで楽しかったことを覚えています。

恨みつらみ、三悪人の利害が重なって、全く関係ない、いい人エドモンが政治犯として牢獄に入れられてしまいます。その描写が宝塚ではここまでやるか？？って位、トップスターさんがボロボロになり、毎年毎年焼き印のプレゼントを受ける…。

しかしその他に例えようもない地獄、どん底の描写があるからこそ、そこからの脱獄、復讐への執念、徹底的な策略、無慈悲さの理由にもなり、切なくもなります。

神様なんて居ないと、エドモンは言いますが、司祭との出会いや、メルセデスと息子と出会わせてくれた奇跡、神様からのかなり辛口なシナリオだったのだと、思えます。

いい人がいて、そして強烈な個性の悪い人がいるからこそ、楽しめる。特に宙組でもそうでしたが、悪役の人たちが男役だけでなく、娘役も相当酷かった(笑)事を思い出しました。ある意味爽快でした😃。

主なキャスト　いい人側

エドモン・ダンテス：礼 真琴

初演はトップ 凰稀かなめ。
そういえば、りかさんは星組にも在籍されていましたね。糞くらえだ～😠にゾクゾクしましたよ。モンテ・クリスト伯となって登場するシーンは、色気もあってどんな衣装も着こなしちゃうんだなーと思いました。

まこっちゃんの白いお役と、黒いお役。前半の好青年と後半の復讐王、両方楽しめる構成となっているわけですが、私はジワジワ相手を追い詰める後半あたりが、なかなか神がかっていて面白かったなと思いました。セリフで追い詰めていく感が流石です。

そしてなんといってもメルセデスとの対決が、緊迫感があって良かったと思います。

メルセデス：舞空 瞳

まだ若い！なあと😅、ひっとんのメルセデスを見て思いました。実咲凛音は、既に母の風格があったんだよね😊。

どうしてもアルベールとの対決を避けたい一心で懇願するメルセデス。エドモンとの対決シーンは、本当に泣きそうで、辛そうで。このシーン、凄く良かったと思います。確かに最後の最後に母の心を見ましたよ。

手を伸ばせば君が傍にいる♬　あの名曲が蘇り、大変楽しませてもらいました😃。

ファリア司祭／モレル社長：美稀 千種

もう泣く😭

司祭のお話は本当に素晴らしい。泣ける。組長スッシー寿つかさも、ボロボロのなりで、ひょっこり登場していました。みきちぐさんも素晴らしかった。歌も素晴らしい。

聖書は案外、実用書なんだよ。

ただの司祭じゃないんですよね。政治犯で投獄されている位ですから、よほど支配者層に恨まれる位の大物、正しい人物なんだと思います。毎晩穴掘って、あと少しという所で息絶えた。えええ😢、でもこれがエドモンを救う訳です。本当に面白いなあって感じました。

物語最後にも、天国から登場されます。これで良かった、めでたしめでたしです。

アルベール：稀惺 かずと

さあ来ましたね！まこっちゃんと親子の関係。期待のルーキー、かずとさん。もうキラキラね✨。

宙組初演では愛月ひかる。どちらも軍服が眩しく爽やかで、親達は皆病んでいるのに(笑)、子供達はとっても誠実で美しい。

最後の決闘シーンの経緯が、なかなか深い話になっていて、ちょっと置いてけぼりになる所も。
育ての父親フェルナン（瀬央ゆりあ）への屈辱、自分を誘拐し助けたというマッチポンプな策略に対して、モンテ・クリスト伯に決闘を申し入れたんだけど、実の父親だと知って、今までの数々の無礼を自身の身を持って詫びたいという状況に変わり、決闘では空砲（弾無し）で臨むんだよね。

なんて知的な息子なんだ、さすがエドモンドの子供。（間違ってもフェルナンの息子ではないね）

決闘シーン、良かったです！

エデ姫：詩 ちづる

エキゾティックなアラビアの美女で、モンテ・クリスト伯の恋人の立ち位置だった。

結局は、
推しかけ女房には、なりたくありませんから

という事で身を引いてくれるんだけど。宙組ではすみれ乃麗。

清純派も良いけど、復讐に燃える女というのも、お似合いだなと思いました。前回のめぐり会いから、ずいぶん大人っぽくなったな～って感じました。痩せたかな？復讐の相手、フェルナンせおっちとの絡みも、イイ感じでした。

主なキャスト　悪い人側

星組でも随一の個性派を揃えて来ましたよね😁。

フェルナン 瀬央 ゆりあ

宙組当時2番手の朝夏まなと。まぁ様のフェルナンが私、大好きで😋。太陽のようないい人・まぁ様が、案外悪役最高！って思った作品でもありました。手の付けられないバカ息子ぶりが、最高で。

で、それをせおっちが演じると分かって、超楽しみにしていました、私。

で、結果、想定通り、バカ息子ぶり、最高でした👍

目の大きさがまぁ様級で、雰囲気がソックリでしたね。最後、半分頭おかしくなって銃を振り乱すシーン。あそこはまぁ様よりも、かなり派手に髪の毛ボサボサ、ボロボロで登場してきて、ちょっと笑った😅（やりすぎじゃね？って）。

ダングラール 輝咲 玲央

いや～ん😍。もう最高なのは分かっていた。宙組もかなり濃い目の悠未ひろ。

ダングラールは見た目から悪そうな奴。そしてちょっと色気あり。二重帳簿がフェルナンにバレて、このエドモンドを罠にはめる計画に乗る。とにかくまともに誠実に仕事なんかした事無いだろう、この男。

母親も意地悪くて（副組長さん）、まあ親子一緒やなという感じ。

ダングラールの見せ場はなんといっても、モンテ・クリスト伯に追い詰められて、投獄され、最後は狂ってしまう所です。金で銃を買い、自死しようとしたところで、弾も有料だという…。物凄い迫力です😱。

狂っては楽になってしまうじゃないかっ！やられた～という場面でした。

エルミーヌ 音咲 いつき

そのダングラールの嫁、姑から”孫の顔を見せて欲しい”と、登場の度にいびられる、可哀そうな嫁。
宙組では愛花ちさき。いつも清純なお役だった彼女が、最後に豹変するのが、めちゃくちゃ楽しかった。

モンテ・クリスト伯に騙され、ダングラールの銀行が倒産し、ビジネスも失敗してしまう。ここは優しいなと思った、ダングラールがエルミーヌとは離婚したほうが、彼女のためだと判断します。

そこで”子供がいなくて良かった”みたいに、言われたときに、ふふ、、本当は子だねが無いのはあんたの方よ！（ペッと唾を顔に吐く😳）って捨て台詞が、痛快爽快で(笑)。

貞淑な妻の振りして、実は心の中で笑ってたんだよ、あたしは～。みたいな、最後の幕切れが最高でした！

ヴィルフォール 夕陽 真輝

三人目の悪人は、まあ悪人じゃないんだけど、役人＝悪人って感じでしょうかね。

宙組では蓮水ゆうや。いつもビビってる感じの印象でした。（本当は悪い人じゃないんだよね）

休演者の代役となりました、ゆうひまきちゃん。とーーーっても、カッコ良かったんですけど！（全然関係ないけど、うちでたまに訪れるBARのバーテンダーさんにそっくりなんだよなあ😊。）

役人として出世したいと思っていて、そこに漬け込んでいる悪妻がいるわけです。

ヴィルフォールを罠にはめるのは簡単。可愛い娘ヴァランティーヌ（綾音美蘭）の事を思えば、嫁の悪事を密告する事で家庭不和は間違え無し。

宙組大劇場では、毒入り酒で金魚🐠が水槽で死んじゃう小道具があったんだけど、全ツではそこまではありませんでしたね😁。

エロイーズ 有沙 瞳

エロイーズをクラッチが演じる、なんて贅沢なんだわぁ。宙組では、もちろんこの人、純矢ちとせ。

せいこが出てきたら、普通の女性じゃないってわかるから(笑)。大物ですよ、大物。

こういう役はお手の物ですね～。実はダングラールと昔付き合っていた。今の夫、ヴィルフォールの父親、ノワルティエがボナパルト派で目を付けられているから、殺して欲しいと頼む（実際、殺害した）。

そして次は夫ヴィルフォールを毒入りのお酒で…って所で、モンテ・クリスト伯の密告書によって、バレてしまった。結局夫婦共々、悲惨な結末になりましたね…。アーメン。

ノワルティエ：遥斗勇帆

代役として登場した、はるとさん。面白い役どころですよね。ボケ老人的な位置づけですが、エドモンドが投獄された理由の一人ですから。登場シーンからずっと謎に面白い(笑)男なんですよ。舅であるノワルティエが邪魔で殺害した嫁が、有沙瞳演じるエロイーズ。

ショーでも大活躍で、イキイキとした彼女の美声を聴けて本当に良かったな～って思ってたのに。。。
次の大劇場公演で退団発表があり（ガーン）、まだこれからなのに？

そう思うと、今回の全国ツアーは大変思い出深い作品だったことでしょうね。配信で観れて、本当に良かった！

モンテクリスト伯の海賊仲間たち

ベルツッチオ 暁 千星

宙組は緒月遠麻。りかさんと雪組で育った同期同士。光と影の影ような存在だった。

脱獄してきたエドモンから分けてもらったお宝を元に、一緒にモンテ・クリスト伯について復讐の手伝いをする。普通の感覚のある海賊で、何でそこまで復讐に執着できるのか？モンテ・クリスト伯の心は大丈夫か？と心配にも思ってくれる優しい人。

初演の時に思った、影ながらクリスト伯の間違った復讐心を、傷ついた心を癒そうとするベルツッチオが素敵だな～って。優しいありちゃんに、ピッタリだなって思いました。

まこっちゃんの側にいる並びが新鮮で、何となく控えめなありちゃんも、いいんじゃないかと。これから星組での沢山の役どころが楽しみだと思いました。

ルイジ・ヴァンパ　蒼舞 咲歩

代役のルイジ・ヴァンパ。いやいや、ぱっと見、天華えまソックリで、演技も佇まいも大きい！凄く良かったと思いましたよ👏👏。

宙組では、お兄様七海ひろき。もうなり切ってたよね～、海賊大好きなかいちゃんだったし。

眼帯姿で、ちょっとコミカルな、ジョニー・デップみたいなカッコ良さ。歌も演技も上手だし、これからもっと抜擢されると良いなと思います！妹さんの亜音君に、やっぱり似てるんだよね。

そして、忘れてはならぬ愛すべき部下たち　鳳真斗愛、御剣海、樹澄せいやも、大変面白かったです！あの訛りは何処の言葉なんだろうね？薩摩弁？色々な場面に扮装して登場するので、ここはもう一度観たいところですねえ。

さてさて、以上になりますか。

このように個人的に振り返って大変楽しめた、モンテ・クリスト伯。（本役さんの演技も観たかった。）

最近思うのは、神様は単純に助けてくれる事は無く、最終的にその人を目覚めさせる、正しき場所にナビゲートする事、それが神のお導きなのかなあって。

どうしてこんなひどい事ばかり起こるの？なんで私だけ？そういう事ってあると思うんですよ。でも乗り越えた先には、なるほどなぁって、そこまでしないと自分は気づけなかったかもな、なんてことがありますよね。

今の世の中がまさにそうで、大きな膿出しの真っ最中、おかしな出来事は、全て正しい場所に戻すための大掃除中なんだなと、感じています。

荒魂（あらみたま）守給（まもりたま）へ 導給（みちびきたま）へ。