星組 新『王家に捧ぐ歌』感想1 研ぎ澄まされた演出と名曲 神聖な気持ちで御園座から世界に祈る
2022年御園座で上演された星組の新バージョン『王家に捧ぐ歌』。演出家は同じくキムシンさん。
良かった、良かったよ~、念願叶ってライブ配信視聴しました🙋。
新バージョンの見どころは
初演は2003年星組、2015年宙組で再演。見ても分かるように、壮大な古代エジプトミュージカルというイメージでした。
新バージョンはポスター発表から、いつもの王家とは違う😮!?と話題沸騰でした。
銀髪ロン毛&ドレッドヘアー。現代的な新バージョンの衣装で、御園座の舞台に合わせたスケールの演出になるのか?と、ファンは期待と不安とあぁぁぁぁ~♬って感じでした。
銀橋やリフト、盆などはありませんが、シンプルなセットで大階段を両サイドに置き、エジプト風の模様や文字、センターにはホルスの目がシンボリックに置かれていました。
出だしの間奏からほぼ通常通り。真っ暗闇から登場する4500年前の出来事を悔やんでいるウバルドの反省ソングから始まります。
衣装はエジプト白 VS エチオピア黒。金ピカの衣装は無く、現代的なジャケットとかバンダナやら、よくよく見るとこだわりのある新しい衣装に、皆さん身を包んでおりました。見ていて面白かった、きっと動きやすいと思う。
そして特筆すべきは、やっぱり配役がハマりまくっていた事!
礼真琴ラダメスと舞空瞳アイーダ、そして有沙瞳アムネリス。
この三角関係がばっちりハマっていてバランスがとても良い。三重奏はオペラを観ているかのような圧倒的な歌唱力。コーラスも大変力強くて素晴らしかった。大好きな名曲の数々、大変聞き惚れました~。
まさに最高の王家✨感動ものでした😆。
そして忘れてはならぬ、
悠真倫さんファラオ&輝咲玲央アモナスロが、最・高👍👍
このお二人がどれだけ役になりきるか、お芝居的に重要ポイントだと思います。
ファラオは初演 箙かおるを、私は超えたと思います。声が素晴らしい!
そしてアモナスロは黒ずくめのイケてる大男に様変わり(ニヤける)💖。めちゃくちゃお洒落で超カッコいい~。あの”鳩ちゃん🐤”も健在!
物語の主人公たちの感情が歌が乗り、それはまるでナイルの流れのように(?)心地よく響き渡りました。
全てがノーストレスで、物語の説得力が先代より上だったと思う(いや、何度も見てるからか?)。
セットや衣装がシンプルになって、余計に歌に集中できる、歌詞が心に入ってくる極上オペラという感じがしました。
オペラ「アイーダ」は豪華絢爛のオペラなので、宝塚の王家も初演、2度目とゴージャスな衣装とセットが売りな所もありましたが、新バージョンは研ぎ澄まされた「王家に捧ぐ歌」という印象です。
簡単なあらすじ※ネタバレあり
エジプトは領地を広げ、隣国エチオピアと戦っている。エチオピアの女王アイーダ(舞空 瞳)、兄ウバルド(極美 慎)達捕虜を奴隷として使っている。
エジプト王のファラオ(悠真 倫)、娘のアムネリス(有沙 瞳)は、エチオピアからの次なる脅威に備え、大戦の将軍を発表しようとしている。イシスの神からのお告げを神官(天寿光希)が、ラダメス(礼 真琴)にと告げる。
ラダメスはアイーダに愛していると告げるが、アイーダは奴隷の身分で認める訳がない。しかもアムネリスがラダメスを愛している事を知っているので、叶わぬ人だと分かっている。
この三角関係が今後のエジプトを左右する事になるとは、さて、どうなってしまうのか?
ラダメスは仲間のケペル(天華えま)達とエチオピアに圧勝し、アイーダの父アモナスロ(輝咲玲央)らを捕らえ凱旋する。
ラダメスはファラオに、エチオピアの解放を、慈悲を与えて欲しいと願う。
アイーダとの愛のため、エチオピアもエジプトも平和になればと思い提案したが、勝者エジプトの民には理解できない。ファラオはエジプトが今後どうなるか賭けてみると、約束する。
戦いの無い平和がエジプトに訪れるが、エチオピアの民はずっと復讐心を忘れてはいなかった。
父アモナスロに利用されるアイーダ。ラダメスから王の警備が手薄になるタイミングを聞きだし、その時に暗殺を狙い、エジプト転覆を計画する。その代わり、アイーダとラダメスは2人エジプトから逃げて2人だけで暮らすことを計画する。
14番目の月の満ちる前日、王族がこもって祈る夜。思いがけずラダメスも王族に加わるようファラオに言われ、アイーダと逃亡する計画は失敗😱。その隙を狙ったウバルド達は、ファラオを暗殺してしまう…。
エジプトの民の混乱、裏切り者の存在、逃げて行ったエチオピアの奴隷達。気持ちを取り戻し、ファラオの娘・アムネリスが王となり、改めてエチオピアに進軍する事を宣言する。
そして、裏切り者ラダメスは処刑される事になる。愛するラダメスを助けたいアムネリスだが、それは叶わず、泣きながらラダメスを生きて牢獄に閉じ込め、金輪際自分が即位の際は戦争をしないと、平和を約束する(涙)。
そしてアイーダは、自分のために生きると父を捨て、自ら牢獄に忍び込む。暗闇の中ラダメスを見つけ、やっと2人で一緒になれた、そのまま息絶える😭。
2人が出来る事は、祈る事だけ。世界の平和を牢獄の中から愛を持って祈り続けた。
あなたに問う、これが平和なのですか?
今回、このセリフが胸に刺さりましたね~🤔。アムネリスがラダメスに問いました。
戦う事を忘れ、お金と食べ物と女に明け暮れる民達。こんな堕落したエジプトが、平和なのですか?と。ファラオの娘、国のトップ、気高き王女は考えます。
国を平和にするには、どうすれば良いのか。勝利し続ける事でエジプトは継続できた。戦い続けないと存続できないって、どういう事?その分、誰かが敗北し奪われるわけです。簡単ではありませんね。。
慈悲を与え、解放してあげよう!
でもそれはエゴかもしれない。解放して欲しい→じゃあ解放しますっていう契約の元なら良いけど、良かれと思って実行し、裏切られてしまったら、後悔しかない。常に強く心を持ち続けなければ、国は滅びてしまう。
もう一人の女王アイーダはもっと達観しています。戦ったって無駄よ。戦う事、争う事から降りる事を選択するしかなかったアイーダですが、いつまでも心は自由になれず…。
ううーーーん、戦争は悪い、平和が一番って簡単には言えないなって、最近の世界事情を見て思います😥。
何度も何度も、希望を祈ること
それでも、何度でも何度でも歴史は繰り返す(4500年も前から)。
戦い、破れ、また戦い、平和な時代が続いてまた破れ…、って繰り返しているこの地上の歴史。
その都度、次こそは平和を、その次はもっとうまくやれないか、って希望を捨ててはいけないんでしょうね。このゲーム、何度もトライして、ようやく、ようやく本当の平和とは何ぞや?と学習し、愛に溢れる世界がいつか来るはず。
そこは輪廻転生しなきゃならんと思うけど(Let’s輪廻♬)、それでも続けるべきです。
愛によってしか光は導けないと聞きます。そしてそれを祈る事なら、誰でもできる。
今この時、この時代に再演となった、新生なる、神聖なる『王家に捧ぐ歌』。愛知の御園座から世界に向けて祈りを捧げているんだと、物凄く鳥肌が立った瞬間でした✨。
礼真琴がご挨拶で「こんな時代もあったよね」と話せる未来について語ってくれました。
そんな未来を私達は求めています。そして確実に来ますっ!祈りましょう。
なんだか感情的になってしまいましたね…。
続きの感想はまた後日。明日の千秋楽、素晴らしいものとなるでしょう!
追伸:ラダメス 白いジャケット 背中の太陽&蛇の模様については…、まだ謎🤔。