『NEVER SAY GOODBYE』あらすじと主なキャスト 感想2 スペイン内戦に学ぶ




2022年再演版『NEVER SAY GOODBYE』のあらすじやキャストの感想を、ツラツラと思い出して書いています🙂。こんなにも内戦の成り立ちについて考えたことって無かったと思う…。

簡単なあらすじ※ネタバレあり

「スペインの嵐」映画製作発表が、セレブが集まるハリウッドのココナッツ・グルーブで開かれている。
女優エレン・パーカー(天彩峰里)と、スペイン闘牛士ヴィセント(芹香斗亜)の共演。闘牛シーンは本場スペインで撮影が行われる。

突然、本作の作家キャサリン(潤花)が、内容が改ざんされていると抗議にやってくる。エンタメ要素多めに書き直された事に腹が立ち、映画化の中止を求める。ひと悶着の様子を、売れっ子カメラマン・ジョルジュ(真風涼帆)がパシャリ📸。これが2人の出会いだ。

キャサリンは勝手に写真を撮られたことにも腹が立ち、ジョルジュの家まで押しかけ、フィルムを返してもらうよう要求しに行くが…。女性しか撮影しない(興味ない)のかと思いきや、ジョルジュが撮影するヨーロッパの素朴な風景の写真達。真実を探し求めているジョルジュに好感を持ち、誤解は解ける。

スペイン・バルセロナでは、ファシズムのベルリン・オリンピックに対抗し、人民のための人民オリンピックが開かれる。各国から集まった選手たち。労働者と闘牛士による開会式のリハーサルが行われている所、ハリウッド撮影隊が視察に訪れる。ジョルジュ📸も一緒だ。

共和国となったスペインの各地域で、ファシズムの恐怖が蔓延している。モロッコでフランコ将軍が立ち上がり、クーデターが各地で起こったため、人民オリンピックは中止となる。

バルセロナでは、PSUC(プスク)統一社会党のアギラール(桜木みなと)が、バラバラのスペイン人民を統一するべく、ソビエトのコマロフ(夏美よう)を後ろ盾に粛清を要求していく。

モスクワで行われる劇作家の集まりに参加するため、キャサリンは途中スペインに立ち寄り、偶然ハリウッドチーム、ジョルジュに再会する。一触即発、自由を守るため立ち上がるスペインの状況を一緒に見届けたいと、ジョルジュと2人、現地に残る事にする。

セビリアが反乱軍に落ちた。ヴィセントは闘牛が出来なくなっても、祖国のためバルセロナに残り戦う。オリンピックが中止となった今、外国選手たちもヴィセントと一緒に戦うと、民兵を組織する。スペイン労働者、男も女も子供達も立ち上がる。サグラダファミリア教会を解放してもらい、活動拠点とする。

様々な国の人たちが、同じ志を持つ同士(カマラーダ)として、スペインのために一緒に戦い、この状況を発信していこうと誓いあう。

サン・ジョルディの祭り。ドラゴンに襲われる王女を助けるため、騎士がドラゴンを刺し、剣の血が赤い薔薇となり、それを女王に送ったという伝説。

アギラールに誘われ、ラジオ番組を担当する事になるキャサリンだが、原稿には検閲が入り、スペイン内戦の真実を、市民に伝えられないでいる。アギラールは力づくでキャサリンを奪いたいとエスカレート。キャサリンは薬を注射され、操り人形のようになってしまう😱。

バルセロナがアギラール支配の状況になり、反乱軍(ファシスト)に対する戦況も不利となって行く不穏な空気の中(バルセロナの悲劇)、カマラーダはキャサリンを取り戻し、パウロ(松風輝)、テレサ(水音志保)、アニータ(瀬戸花まり)達と協力して、マドリード義勇軍に合流するために移動する。
途中、アギラール達に見つかってしまうが、ジョルジュが撮りためた、PSUC粛清現場の写真をアメリカで公開するぞと、脅しをかけ駆け引きをする。あまりにも行き過ぎたアギラールを後ろから撃ったのが、コマロフだった😱。

この先は女達は残るようにと、ジョルジュはキャサリンにフィルムを手渡し、真実を伝えるためこれらをアメリカで出版して欲しいと、託して別れる😢。

男達カマラーダは銃を持ち、死を覚悟して戦いに突き進んでいく。戦いのシーン(ダンス)が静かに、ジワジワと心に突き刺さる。

ジョルジュは、オリーブの木の下にカメラ📸を埋めておくと遺言した。
ジョルジュとキャサリンの孫 ペギー・マクレガー(潤花)と、ヴィセントの孫エンリケ・ロメロ(奈央麗斗)は80年後にその場所を訪れる。

そんな感じかな。(違っていたら訂正していきます)

この頃を舞台にした作品

私が思い入れのある作品たち。

「ロバート・キャパ」(2012年宙組 凰稀かなめ)

ジョルジュと同じように写真家として、スペイン内戦を撮影したロバート・キャパ。ゲルダ・タロウという女性のカメラマンが恋人で、この2人の関係性もカッコ良かったなと記憶しています。
有名なスペイン戦死の崩れるワンショット。

こちらはやらせか?という検証が昨今話題になっていた。写真1枚で戦況を間違って伝えてしまう可能性もある。真実を伝えるのは本当に難しいことだと思います。

「誰が為に鐘は鳴る」(2010年宙組 大空祐飛)

ヘミングウェイ原作、アメリカから来たスペイン内戦の義勇兵のお話。色々な国から、スペイン内戦に参加した男達がいたのですよね。

「カサブランカ」(2009年宙組 大空祐飛)

リックは、アメリカで武器商人まがいの仕事をしていた。スペイン内戦の義勇軍にも多くの武器を流していた。そんな自分に嫌気がさし、すっかり足を洗い、中立な立場でモロッコでカフェを営んでいる。そんな内容だったと思います。

「THE LAST PARTY」(2019年月組 月城かなと)

「誰が為に鐘は鳴る」の原作者ヘミングウェイが、主人公スコットの作家友達として登場します。自身もスペイン内戦に参加し、極限状態の現場を自分の目で見てきた、という男気溢れる作家。スコットとの対比を感じる存在感でした。

混沌とした世界各国の(特に欧米の)若者が、自由と真実を求めて、スペイン内戦に吸い込まれるように参加していった、ドラマティックな状況だったんだなと思われます。あまり詳しい訳ではないですが、宝塚を観ているとよく「スペイン内戦」という言葉を耳にしていたんですよね😄。

今回のネバセイでしっかり勉強しております!

主なキャスト ハリウッド

ジョルジュ・マルロー:真風涼帆

売れっ子写真家でまわりに可愛い女性が集まる色男。エレン・パーカーとは恋人なの?って感じのつれない男。最近無かった、ちょっとチャラ目な色男系のゆりかさんが楽しめるのかと思います!

デラシネ(根無し草)。

ポーランド出身で父は医者をしていた。貧しかった過去があって、常に真実をシャッターに収めたいと思っていた。写真のスライドを見ながら過去を話していくシーンは、とっても素敵でした。素直にカッコイイ😍と思う。

わかるんですよ、真実を見つめるには、何にも属さず、根無し草でいる事が中立な目を保てるって。

スペイン内戦の出来事を異邦人として客観的に見つめ、うごめく市民の行動に真実を見出し、自分も身を投じようとする。この瞬間の煌めきを写真に収めたいと気づく。

カメラ裁きがお見事!”パシャ📸”って音も軽快。

華やかな生活から内戦へと転落。
でも悲劇では無く、信頼できる仲間と出会い、真実のために動いた自分に満足している、そんな風に最後は感じました。

なかなか骨太な内容ですが、やっぱりゆりかさんであれば説得力があって物語が完成する。遣り甲斐のある一本モノだと思います。

回を重ねるごと、もうジョルジュが乗り移ったような感じになっています。歌で訴えかけるカマラーダへの思い。それに耳を傾ける組子の真剣なウルウルした眼差しに、また感動しまくっています。

神がかってます。
これはもう、完全にこの作品のMVP賞だと、実感しました😆。

キャサリン・マクレガー:潤 花

流石の潤花ちゃん。ポスター登場から雰囲気が出ていた。

美しくて強い(でもか弱い所もある)女流作家。

ドラマティックだったな~。
潤花ちゃんが傍にいると、ハリウッド的ドラマティックなお話になるんですよね。大輪の花とはこのこと。2人のお歌が綺麗にハモっていたと思う!難曲だと思いますが、しっかり歌われておりました♪

個人的に好きな場面は、ハリウッドの劇作家仲間が、バーで談話している所。真実は何処にあるの?って、仲間同士飲みながら話し合う。ああいう場って必要だなーなんて、懐かしい気分にも思いました。

エレン・パーカー:天彩峰里

エレンさん。典型的なハリウッド女優さんの役柄。
見た目(だけ)良くて、自分だけ名声だけの女性。スペインで闘牛士達と写真を撮る風景が、あらあらって物語っていました😆。

銀橋で、ジョルジュに自分の事はどう思ってくれているの!?って歌い出します。

すれ違いまくっている2人😔を見ていると、切なくなりますよね…。ゆりかさんとの並びが新鮮で✨そんなエレンを好演していたと思います!

ピーター・キャラウェイ:春瀬央季

金髪の高身長のイケメンさんが、とにかく良くお見掛けします!この公演が最後となる春瀬央季。

キャサリンを思う劇作家仲間(恋人気分?)役で、キラキラのホワイトな存在がピッタリでした!あんなに素敵な人が傍にいるのに、キャサリンは罪な人だわ…。

主なキャスト スペイン

ヴィセント・ロメロ:芹香斗亜

ヴィセントってこんなにカッコイイ男なんだわ~😍

第一印象ですっ!

映画製作発表会でひと踊り、お客様にお見せした(エレンが邪魔だったけど)。
そこからバルセロナに戻り、闘牛士生命より、祖国を守る事を選択した熱いほんまもんのスペイン人!

歌声も踊りもとっても良くて、オリンピアの人たちも付いて行っちゃうよな~って思いました。

闘牛士仲間:
秋音 光、秋奈るい、水香依千、穂稀せり、真名瀬みら、雪輝れんや

闘牛士仲間の美しいマタドール姿、パッション感じる黒塗り・お髭姿。本当に美しい✨。最高のチーム。

闘牛が出来なくなるかもしれないって、不安に焦る思いが心から伝わって来た。スペインの誇りですからね。
あらためてじっくり闘牛シーンを拝見したいと思います。

雪輝れんや 演じる若手闘牛士・ペドロの真摯な目が、とっても印象的でした!

テレサ:水音志保

ヴィセント(芹香斗亜)の恋人役♪
秘かにこれは大・抜擢ではないでしょうか!

スペインの女性として情熱的に恋人に尽くす、愛す、そしてフラメンコもお上手、という事で。可愛くてパッと目を引く愛らしい存在感。宙組娘役のニューフェイスかもなあ😃。

パオロ・カレラス:松風 輝

ギラギラしたスペインのおじ様No.1は、まっぷー演じるパウロでしたね~👍。

あの髪の毛のオイリーな感じとか?いつも素敵なお髭だし(バリエーション多い)、イタリア映画に出てきそうな雰囲気のあるパオロさん。フラメンコや闘牛士などスペインの興行のお仕事をされている方。存在感たっぷりでした。

フランシスコ・アギラール:桜木みなと

小池先生といえば、オーシャンズ11でベネディクトを演じたずんちゃん。今回も黒い敵役😎で登場!

最高にCOOLで憎たらしく、後半は小物感漂う悲哀を感じる、アギラール。

きっと彼もスペインのためにと立ち上がった市民の一人だったはず。でも権力、支配力、女性等手にしたいと闇落ちしてしまう、小さな男になってしまうんですよ。そこが切ない😣。

初演が遼河はるひ!あの黒革ロングコートの冷徹な男のイメージがありましたが、ずんちゃんはもっと小回りが利いて、全身で力づくでねじ伏せるっ💪!みたいな、ずんちゃんらしいパワフルさを感じました。

ラ・パッショナリア:留依蒔世

女役で登場ですっ💓!!!
第一声を聞いただけで涙が溢れた😭。なんなのだ、この感覚。闘志を奮い立たせる歌声とでもいうのか。

るいまきせ、彼女のポテンシャルは無限だな~。パッション!を感じました。女性の先頭を切って立ち向かう勇士。お母さんみたいな存在でリアリティがあった。
パッショナリアの物語ももっと観てみたいですよね~。最高でした👍👍。

初演は歌が超絶上手い娘役さんで、現在もミュージカルでお馴染みの和音美桜

フィナーレでも女性役で、フラメンコの衣装で登場!キャ~カッコいい😆。宙組ならではの存在感。
前回アナスタシアで和希そらが、女性役でフィナーレ登場した時と同じように、感動で胸が震えました。素晴らしかった。

こういうサプライズも、最高ですね!

市長:若翔りつ

はい!きたきた~、りつの市長さん!

クーデターが起こったぞ!美声が響き渡ります。初演は風莉じん。彼女も歌うまさんだった。

濃厚な社会派作品に威厳を添える、りっつ。最高です👌。

アルフォンゾ・リベラ:澄風なぎ

こっちもきた~!
POUM(統一労働党)の代表で、黄色いお帽子が象徴的なアルフォン・リベラ。初演は天羽珠紀

渋い…この配役も大変素晴らしい。スペイン労働者を組織した、澄風なぎ。
無政府(アナーキスト)で人民のための政治を作るんだ!と書かれている黄色いチラシを、くちゃくちゃに捨てられて、それを一つ一つ拾う姿に涙が出た。無下に扱うなっ!ってね。

スペイン内戦を彩る?主役たちが、私にとっては豪華なラインナップ。ずんちゃん、るいまきせ、りっつ、なぎくんのパッションが、胸アツですっ😍!!

主なキャスト オリンピック選手

マックス・ヴァン・ディック:紫藤りゅう
ビル・グラント:瑠風 輝
ナセール:優希しおん
ビョルン:鷹翔千空
ハンス:風色日向

まとめてしまって勿体ないかな~😅(笑)。
このチームに入れた宙組生は、さぞ楽しいことでしょう。

宙組スター選手、勢揃いっ😆!!

歌って踊って(ココナッツ・クラブでも)、常に先頭に立ってフラッグを回したり、銃を構えたり、スペインの民衆に交じって各国のオリンピック選手が兵として戦います。

私は目が泳いでしまって仕方がない。。。

しどりゅー、もえこ、こってぃ3人組、大好物です😍(やばい)。

勿体ない。全員の顔が観たくてオペラ迷子で大変でした(笑)。いや~選り取り見取りってこういう事?再度じっくり堪能したい、宙組のイケメンスター選手達です。

タリック:亜音有星

その中で一番若造っぽくて、途中皆を裏切って逃げ出してしまった、弱いヤツです(笑)。

タリック、初演が早霧せいな、ですよ!初代新公主演だったんですよね。「バロンの末裔」より引き続き、こういった役回り。天然さがいい具合に出ていて、お話の良いスパイスになっていたと思います。

もっと続きがみたかったのが本音?

がっつりスペイン内戦を舞台としたネバセイ。

初代の退団公演だったから「サヨナラは言わない…」というタイトルだったのだとは思いますが、個人的にはもっと内容を詰め込み、できたんじゃないかな。。って思いました。そしてこの「サヨナラは言わない」のタイトルの重みっていうのかな、もう一声欲しいかもなぁ。なんて。

後半キャサリンがどうなったのか、ヴィセントは生きていたってことよね?続きを膨らませて見たかったなという感じもしました。まあこれは個人的な意見です。(のめり込み過ぎか😅?)

とはいえ、存分に堪能した一本モノミュージカル。東京で観た時は更に感情が歌に乗っていて、客席も驚く程にのめり込んでいた、気がします。

こんなお話だっけ?(凄い)とおっしゃる方もいらした。きっと初演よりもかなりパワーアップしているんだろうなと。思いました!

紫藤りゅうは、ファン時代に初演を録画で100回も見たんですって😃!そうなんだ~、ふりも歌詞も頭に入っていたんだね😊。なんという巡り合わせなんだろう。

様々な人を魅了するオリジナル・ミュージカル作品。何度見ても新たな発見ができる、面白い作品だと確信しました。

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