「ミス・サイゴン」2022年 熱量と迫力 30年経って反戦のその先へ 駒田一&高畑充希




2022年版、30周年の日本版「ミス・サイゴン」を観て参りました!やっと観る事ができた😃。

もう凄い!迫力ある舞台、演者の熱量も半端ない😆😆!

ミスサイゴン、私何回観たんだ?エンジニア何人観たっけ?とか頭で数えながら、舞台拝見してました。
やっぱり凄い、期待はいい意味で大きく裏切ってくれた。素晴らしかった👍久しぶりのミスサイゴンを堪能しました😆。

そしてホームページのイントロダクションに書かれた、この作品の時代背景に対するコメントが秀逸だった。30年の重み、1度読んだだけでは理解できない程、複雑で頭がクラクラ。。深くのしかかって来た。大きなため息をついた😔。

個人的見どころと感想、あらすじを。

多種多様な音楽、演出の融合

オープニングのベトナム異国情緒溢れる、ドドーーンという音楽に胸が高まる。

キムとクリスの美しい恋愛にはサックスフォーン。ベトコンチームはアコーディオンに爆竹。キムの結婚式、お祈りには笛の音。
2幕目の戦争が残した子供達の問題にはアカペラ。エンジニアのアメリカン・ドリームは、ハリボテの自由の女神が登場し、まるでハリウッドの世界!

そして一番の見どころは、あの有名な戦地から飛び立つ、ほぼ実寸大のヘリコプター(以前、帝国劇場に初日前夜、ヘリコプターが舞台に搬入されている所を通りかかって遭遇した事を覚えています😊)や、新政府・ホーチミンのドラゴンダンサーの迫力等々。

男女のリアル

演出、演者の立ち位置が所々変更が加わっていて、より分かりやすく、迫力満点、パワーアップしている。
そして直視するには辛すぎる現実も、パワーアップしてると思った。ベトナムやタイの女性達が艶めかしいダンス、男女の絡み…。リアル過ぎて、物凄くカッコよくもあり、切なくもあった。

”ミス・サイゴン”ジジ演じる則松亜海が、最高~~にカッコ良かった😍!パワフルボディーで気品高く、驚きの存在感でした。

高畑充希ちゃん演じるキムは、彼女にしか出せない個性というか、もう脱帽って感じです。生娘そのまま、小さくて、か細く、子供に夢を託す事に一途で力強い歌唱は、感動を呼びます。

客席の、特にお若い方が号泣😭😭されているのを見て、ああ、自分も30年前はそうだったなと思い出しました。割れんばかりの拍手、スタンディングオベーションだったのは当然だと思います👏👏。

簡単なあらすじ※ネタバレあり

公式ホームページのSTORYが一番分かりやすいと思いました。以下転用。

1970年代のベトナム戦争末期、戦災孤児だが清らかな心を持つ少女キム(高畑充希)は陥落直前のサイゴン(現在のホー・チ・ミン市)でフランス系ベトナム人のエンジニア(駒田一)が経営するキャバレーで、アメリカ兵クリス(小野田龍之介)と出会い、恋に落ちる。お互いに永遠の愛を誓いながらも、サイゴン陥落の混乱の中、アメリカ兵救出のヘリコプターの轟音は無情にも二人を引き裂いていく。
クリスはアメリカに帰国した後、エレン(仙名彩世)と結婚するが、キムを想い悪夢にうなされる日々が続いていた。一方、エンジニアと共に国境を越えてバンコクに逃れたキムはクリスとの間に生まれた息子タムを育てながら、いつの日かクリスが迎えに来てくれることを信じ、懸命に生きていた。

そんな中、戦友ジョン(上野哲也)からタムの存在を知らされたクリスは、エレンと共にバンコクに向かう。クリスが迎えに来てくれた−−−心弾ませホテルに向かったキムだったが、そこでエレンと出会ってしまう。クリスに妻が存在することを知ったキムと、キムの突然の来訪に困惑するエレン、二人の心は千々に乱れる。したたかに“アメリカン・ドリーム”を追い求めるエンジニアに運命の糸を操られ、彼らの想いは複雑に交錯する。そしてキムは、愛するタムのために、ある決意を固めるのだった−−−。

補足すると、キムは親に約束された婚約者トゥイ(神田恭兵)がいた。ベトコン(ベトナム解放軍)の兵士であるトゥイは、キムを強引に迎えに来るが、既にクリスと結婚したキムは拒絶する。
クリスと離れ離れになった3年の間、ようやくトゥイはキムを見つけ出す。クリスとの息子タムを見せられ、呪いの子だと殺そうとする。キムは子供を守るため、クリスから貰った護衛のピストルで、トゥイを撃ってしまう(正当防衛で)。

その後、キムにはトゥイの亡霊が付きまとう事になり、最後は自ら命を懸けて、タムをアメリカに連れて行って欲しいと懇願する事になる…。まさに歌詞通り、命を、夢をタムに託した。

 

無意味な戦争

クリスが言います、無意味な戦争だったと。
ベトナムもアメリカも、兵士達はこの無意味な戦争のために大変苦しんだ。

サイゴン陥落の前日、アメリカ軍の混乱と慌てようは緊張感で一杯。ジョンはクリスを助けるため、強引にもヘリコプターに連れ込んだ。キムは一緒にアメリカへは行けなかった。

2幕目は戦争孤児の問題に直面する。あの歌と映像は30年経っても変わらず、やはり一生忘れられないと思う。

どっちの国民が良い悪いではない。

今も変わらぬ、いや、繰り返し継続するように仕向けられているのかと思う位です。このからくりから抜け出すにはどうすればいいのか。

キムとエレン 女2人極限状態での駆け引き

宝塚花組元トップ娘役 仙名彩世のエレンが観たいと思っていました。
やっぱり興味深かったと思ったのが、キムとエレンの二重奏。同じ人を愛す女性2人の演技に引き込まれました😃。ミーマイのサリーとマリア叔母様みたいな感じ?個人的には。

エレンは優しくて、頭が良くて、行動力のあるアメリカの出来る女!って感じでした。キム1人では到底太刀打ちできない、素敵な女性…。

バンコクのホテルで2人は鉢合わせ。気まずい雰囲気。でもエレンは、愛するクリスのためにも、先に2人で会えてよかったのよと、言います。ここがねえ、クレバーだわ🤔。

キムは一方的に大声で「タムをアメリカに連れてってよ!!」と叫びます。力技です、もう懇願という感じ。理性的に話し合いましょって感じでは負けちゃいそう。。さあ、この極限状態の駆け引き、私はキムが勝ったと思いました。命がけですから。

その気持ちを汲んで、エレンはタムに支援する、引き取ろうと決心するんだと思います。

クリス(男性)はこういう時、冷静になれないと思うんですよね。だから、エレンが言うように、先に2人で会って良かったのかもしれない。どうなんだろう、、クリスと先に会えば、キムもタムも助けられたのだろうか…。

この2人、とっても見所だと思います。(女性だから、女性目線なのかも?)

映画は、夢

このお話、主人公ってエンジニア、なんですよね。エンジニアの存在って何だろう?

彼の目線から言うと、全てはお金、夢、自分のため。生い立ちを聞くと、ああ、そういう人生になっちゃうのかな~と可哀そうにもなりますが、エンジニアはたくましく、この理不尽な戦争の世を渡り歩きます。

駒田エンジニアは、本当に調子のいいオジサンって感じで(笑)。哀愁漂うダンディーなフランス系ベトナム人。キムのためとか、ジョンのため、とか、全然思っていない所、ちゃんと辻褄が合う演技だったな。

女の子は商品、アメリカ兵はアメリカン・ドリームへの希望。
トゥイ・お偉い兵隊さんには、生き抜くために腰低く接する。
キムの息子タムは、アメリカ行きのパスポート。俺は親戚、そうだろ?そうじゃないと、キムを助けた意味がないじゃないか…。最後は自分の夢も砕け散った顔をしてましたね。

映画は、夢

アメリカ映画の中に出てくる生活は、夢なんです。映画の夢を追い求めた女の子たちも、薄々感づいていた。映画は、夢。夢まぼろし。

とはいえ、エンジニアの”妄想アメリカン・ドリーム✨”は、めちゃくちゃ最高にハッピーで、笑えて、ゴージャスで!あの場面が見たいがため、ミスサイゴンを見てもイイって思う💗。自由の女神、凄すぎて笑いが😁。

以前、観劇中に地震があった時があって。市村エンジニアがアメリカンドリームの場面で、「地震なんか、怖くないぞぉ!」ってアドリブを言ってくれた事を思い出しました。そうだそうだ!怖くないぞー。

映画は、夢。リアルな夢は、自分で描こう。案外身の回りにある夢に気づいていないかもしれない。

反戦からその先へ、からくりを見出そう

本当に悲惨な現実が惜しげもなく表現されており、ふと30年前から今も、世の中変わってないじゃないかって、ちょっと愕然とした気持ちにもなりました。

悲惨さを植え付けるため、という訳ではない。なんて無意味なんだと、どうしてこんな事になったんだと、自問自答するきっかけに、なればいいのかな。捉え方も変わっていいはず。
長年かわらぬ恋愛ドラマという位置づけでも良いけど、私はこの「ミス・サイゴン」のやりきれない終わり方に、意味があるのかなと思っています。

戦争反対!っていうのは簡単で、今は戦争へと向かわされるからくりに、騙されてはいけないと感じます。誰だって戦争は嫌ですよ。きっと利権とか、名誉とか、何かを餌に支配者層からそそのかされて戦争を仕掛ける人達がいて、全く関係のない一市民達が巻き込まれている。この構造。

自分の大切な物と直感を信じて、インスピレーションでも何でもいいから、過去のからくりに気づく事から始まると思います。支配者システム維持のためのスクラップ&ビルドだとしたら…、いい加減気づく時だと言われています😠。

とにもかくにも、必見です!全国で、何回観ても感動がある。

ミュージカル「ミス・サイゴン
日本初演30周年記念公演

第1幕75分、休憩25分、第2幕65分(合計2時間45分)

帝国劇場:~2022年8月31日迄

全国ツアー
大阪梅田芸術劇場:9月9日~19日
愛知県芸術劇場:9月23日~26日
長野まつもと市民芸術館:9月30日~10月2日
札幌文化芸術劇場:10月7日~10月10日
富山オーバード・ホール:10月15日~17日
福岡博多座:10月21日~10月31日
静岡アクトシティ浜松:11月4日~6日
埼玉ウェスタ川越:11月11日~13日

↓2020年は中止になって、今年に上演となりましたね。

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