礼華はる&彩海せら『月の燈影』感想 切ない話だ(涙)幼馴染だった2人が生き抜いた 抗えない川向うの流儀




月組若手スターの2人である主演の礼華はる、そして彩海せらの友情物語がとっても切なくて良かった😢!!
バウホール『月の燈影(ほかげ)』のライブ配信を視聴しました🙋。

和物の作品で楽しみな、芸者の踊りや夏祭り、男衆が並んで歩く姿はカッコいい。これは劇場で観たかったな~。和物を挑戦する若手組子も相当頑張ってたよね!

このポスター、作品を観るとなるほどの素晴らしさだと分かりました😃。闇夜に咲く紫陽花が本当に綺麗だった。シンプルな舞台セットが逆に人物の生き様を浮き上がらせる。

川向うの流儀が巧妙 とても大人な作品

大野先生の作られた、2002年花組 彩吹真央、蘭寿とむ の初演から約20年。幸蔵を主人公に、次郎吉と別れ、再び巡り会うまでという事で、今の季節の花・紫陽花と月がとっても美しい、江戸情緒溢れる人情(任侠?)物作品になっています。

初めて私は聞いた「川向う」という世界。江戸城から隅田川を超えた東側を川向うと呼び、江戸の預かり知らぬところとして、ようは無法地帯、地のヤクザが縄張り争いを繰り返していた。江戸で住めなくなった者(人を殺めたり、逃げてきたり)が流れ着く場所。

宝塚的に、こんなにディープな男臭い題材をガッツリ仕上げてくるなんて😃。なんつーか、”江戸のウェストサイドストーリー”じゃないけど、江戸の男達が粋で、若さゆえの咄嗟の行動、危うさがカッコよかった!

川向うの流儀ってやつが至極巧妙で、玄人達に上手く嵌められてしまう危うさが😨非情で辛い…。

夏美よう&梨花ますみ。この2人の悪だくみ(笑)というか、川向うのしきたり。背筋がゾクゾクするほど怖かった😖。絶対素人が手を出しちゃいけねぇ、闇の仕組みの片鱗を感じ、大人の作品、大人の世界を感じました。

困っていた幸蔵(礼華はる)&お勝(麗泉里) 姉弟に助け船を出す、ヨドタツこと淀屋辰五郎(夏美よう)。置屋のおゑん(梨花ますみ)と裏でつるんで、女は商売道具に、男はヤバい仕事に利用する。甘い言葉で誘われ、悪い奴らから結局抜けられない蟻地獄のような世界。

今や両国の通りもの(博打、賭場)をまとめる、兄ぃ幸蔵だが、いよいよ両国を手に入れようと淀辰が動く。幼馴染の優しい次郎吉(彩海せら)との関係性をついて、次郎吉の惚れている芸者 喜の字(天紫珠李)を苦しめる卑怯なやり方で幸蔵を追い詰める。
ああ、ヤクザの世界とは、こんな抗争だらけなのでしょうか、非情だわ😭。それでも若者は一生懸命生きて、生き抜いている。そう思えた作品です。

簡単なあらずじ※ネタバレあり

公式HPより抜粋

江戸時代後期、市街拡大により「江戸」に加えられて間もない、欲望渦巻く危険な新興地だった大川の東岸を舞台とし、再会した幼馴染の幸蔵と次郎吉の友情を軸に、そこで生きる人々の哀感を描いた『月の燈影』。
・・・・
文政六年、夏。向両国の通り者達を仕切る幸蔵(礼華はる)は、借金の形に連れ去られる仲間の妹を取り戻そうと奮闘する町火消「ろ組」の次郎吉(彩海せら)の姿を見掛け、助け舟を出す。幸蔵の姿に、行方が分からなくなっていた幼馴染・幸(さち)の面影を見出した次郎吉は、その後を追って大川を渡り、危険な新興地へ足を踏み入れていくが……。

幸ちゃん(さっちゃん)?幸ちゃんじゃねーか😆!

愛くるしい笑顔で次郎吉は声をかける。中村座の芝居小屋で一緒に仕事した、三味線の練習もした幸ちゃん。貧しい生活から抜けるため、次郎吉から”火消にならねーか?”と誘ったところ、理由も告げずに幸ちゃんは行方をくらました。。
ろ組の頭 丑右衛門(悠真倫)も心配しており、町奉行の大八木七兵衛(春海ゆう)に2人の行方を調査依頼するが、今で言う所の戸籍から消されている状態らしい。

幸蔵は元は江戸の人間・幸(さち)で、姉のお勝(麗泉里)を助けるため、人を殺めてしまった過去がある。生きる場を失った彼らに淀屋辰五郎(夏美よう)が助け舟を出してくれた。江戸を出て命の恩人・淀辰さんのために働くが、姉のお勝は自害し、失う物が何もない状態となった幸蔵(おゑんの仕業)。更にヤバい仕事にハマって行く。

おゑん(梨花ますみ)の店にいる、江戸から大川を渡ってきた芸者 喜の字(天紫珠李)。淀辰からお声がかかるも、きっぱり断る。
喜の字の弟 新助(一輝翔琉)は、好きな芸者にかんざしを買うため、賭場で一儲けしたいと次郎吉を誘う。かんざしを選ぶ新助と共に、次郎吉は心を寄せている喜の字のために、かんざしを買う。

その後淀辰の策略か、新助が博打で磨っちまった借金の方に、姉の喜の字は身請けされる事を余儀なくされる😔。

好きにしたらいいじゃないか、このまま月の影に消えてしまいたい…🌜。

恨むなら、幸蔵を恨め と言葉を残された。(幸蔵が嵌めたの?違うだろ。。)

幸蔵は、次郎吉に江戸に戻れと、こんな自分には関わるなと伝えるが、次郎吉は一歩も引き下がらない。
今や幸蔵の失いたくない物は、次郎吉という親友になってしまったのかもしれない。次郎吉の思い人・喜の字を助けようとする幸蔵。しかし、淀辰に逆らっては生きて行けないと、仲間の三吉(彩路ゆりか)や、裏切り者 伊七(真弘蓮)が幸蔵に襲い掛かる。そこへ新助も刃物片手に襲い掛かる。

男達の乱闘騒ぎとなり、次郎吉は伊七を刺し、新助は次郎吉を刺してしまう…。

あぁ、、俺も江戸には居られねぇ…

と次郎吉。身ぎれいな人間なんて居ない、俺だって幸ちゃんと同じ川向うの人間だと、苦笑いしながら刺された脇を抑え、痛い痛いと、幸蔵と喜の字に抱きかかえられながら、息絶える。

幸蔵は二度目の失うものが無い状態となり、憎き淀辰をひと思いにぶった切る…。

喜の字と新助は、ろ組の頭に預け、幸蔵はどっかに行きやがれ!という事で見逃してもらう。

その後、江戸に悪いヤツから金を奪い、貧しい物に分け与える鼠小僧・次郎吉という男が席捲する。さんざん金を奪ってお縄になって獄門行きとなる。幸蔵は、今度は鼠小僧次郎吉と名乗って、悪い奴らに仕返しをし、自分達と同じような貧しい物に施しをしまくったのだろうか。

面白い最後の展開だったなと思った。幸蔵と次郎吉は、2人川向うで一緒に眠っていると、喜の字は語る。

そんな感じだったかなと。

大物感ある礼華はる兄い

長身に着流し姿がさまになる。啖呵切ったセリフが腹に響いて、終始笑わぬ冷静沈着さ、過去のある男感が、イイ感じでやり過ぎず、すっと佇んでおりました。

花笠まつりや、客席からの登場に心沸く!三味線引きながらお唄もご披露してくれまして、素敵でしたよ👏👏。

この作品を充てたプロデューサーさん、大野先生が流石だなーと思った。礼華はるの新たな一面をみた!

組長さんになられた、みとさんもご挨拶でありましたが、皆をまとめるリーダー的包容力を感じる存在。今までに似た様な人がいない、なんか新しい魅力の大物感あるスターさんなんだよなー。ふと笑う笑顔が可愛い。

そしてW主演のようでした、優しい幼馴染の次郎吉・彩海せら。和物の技術力があって、ふとした瞬間、望海風斗を思い出す。『壬生義士伝』の新人公演主演でしたからね~。
人懐っこくて、幼い頃一緒に三味線の稽古をした幸ちゃんを絶対忘れない、貧しいながらも懸命に生きた2人。最後は泣かせるな~😭上手い!美味しい場面でした。まさか本当に死んでしまうなんて(辛かった…)。

この2人に絡んでくるのが、江戸から川を超えてこっち側にやってきた、芸者の喜の字 天紫珠李。
日本物や芯の強い女性が本当にお似合いで、芸子さん姿も大変美しく、何をやってもとても安定感がある彼女。そのままお座敷上がれるよねっ😃。次郎さんへの恋模様では、とても可愛らしい一面も見れました。

他の出演者、全ての人々が印象的で、新鮮な役柄だったことが見ていて楽しかった。

今にも消えそうな儚いお勝姉さんの麗泉里、悪女姉さん風の文字春役の天愛るりあ。蝶之助&元吉の素敵な姉さん達。
兄い~と慕う粂八役の大楠てらや、幸蔵が好きでいちずなお壱役の花妃舞音。そして、物語が動くキッカケとなる、大抜擢 新助役の一輝翔琉。

男達娘達がそぞろ歩く場面は、めっちゃみんなカッコ良くて、COOLでした👍。

最後の子供時代の2人の三味線姿は、涙で溢れました。友情って、いいな~。
思い返せば、沢山素敵な場面が思い出される。フィナーレの幸ちゃん&次郎のデュエットダンス、そして喜の字と次郎吉のダンス。芸者の踊りに、手ぬぐい片手の男衆の祭りの踊り。これがやっと幸ちゃんの笑顔が見れて嬉しかった。

カーテンコールでは、皆が持つ手ぬぐいを客席に投げるという、初演からの演出だそうで、盛り上がっておりましたね!客席が沸きに沸いていた(笑)。

この役が愛おしくて離れ難いと、少しウルっときた感じで千秋楽のご挨拶だった、礼華はる。バウ初主演が『月の灯影』というのは、かなりラッキーだったのではないでしょうか!?そこには、同じぐらいのパワーと実力を持つあみちゃんとい存在が居てこそだと思います!

良い作品でした👏👏。紫陽花を見たら思い出す、季節が廻った事を思い出すと思います。

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