『ライラックの夢路』感想2(※ネタバレあり)闇があるから光を求める 戒めと誇りと愛のライラック紋章

2023年7月16日




ドロイゼン家の誇りの物語である『ライラックの夢路』。
謝先生のメッセージが沢山!詰まっているので、回数を重ね、ふと思い出すあの言葉、あの場面、みたいな反復練習が、頭の中を駆け巡って、とうとう千秋楽が近づいてまいりました。

ドロイゼン家の5人兄弟、後からもう一人異母兄弟が発覚し、6人の兄弟達が、長兄のハインドリヒ(彩風咲奈)指揮官の元、受け継いだ農地に住む民を思いながら、新しい時代の鉄道産業に強引に✊邁進する。

その裏には、多くの闇と戒めの思いが、同時に寄り添っていた。

ドロイゼン家の闇(かな?)

ポーランドから来た父の祖先と、ハンガリーから来た母の祖先

ドイツの隣国、この2国は常に辛い歴史に見舞われる緩衝地帯。ロマやユダヤ人が多い国。
そこからドイツにやってきて、差別もあるだろうし、大変な苦労をされたんだと思います。だからこそハングリー精神で成功した祖先のお陰で、ドロイゼン5は今の地位にあると思う。

昨今も移民問題…あると思いますが、特に昔は虐げられた歴史がある民族で、実は優秀で素晴らしい才能があって、それを隠して(隠さざるを得ない)生きてきたという歴史も、あるんだと思います。その恩恵を私達は知らずに受けている部分があるかもしれない。

銀行業で今や世界を支配していると言っても過言ではない、ユダヤ系のロスチャイルド家。伝書鳩を使って情報をいち早くGETし、大戦中に情報操作で大金を手にしている。争う2国間両方に金を貸す。どっちが勝っても負けても儲かる仕組みを編み出す。

今回、ドロイゼン家は、逆に微妙な駆け引きを持ちかける銀行家から金を借りる事を避け、国の援助も受けられず(武器を作れと指示されるから😟)、印刷王ホフマンさん(まなはる)や、ジュエリー作家エリーゼ(夢白あや)の奮闘でどうにか資金繰りをします。

ドロイゼン家の誇りは捨てない。良かった!

農奴に犯した過ち 戒めのライラック紋章

プロイセン王国のユンカー(騎士領所有の貴族)。
さらっとハインドリヒが話してくれるのですが、大地主となって成功した裏には、非道なやり方とか無視できない事もあったんでしょうかね。

戒めのためにライラックの紋章を掲げ、騎士道を兄弟達に伝える。

ライラックの花の紋章は、十字架に見えますね。
花の精油は、香で人を癒したり、薬の役目もあったのかなと。

魔女にさせられたアーシャ 異母兄弟アントン

アーシャ(美穂圭子)は、お芝居冒頭、ハインドリヒの夢の中に出てくる色っぽい女性。

生前、母と同郷のアーシャとは仲が良かった。病気がちの母が死んだ後、夫である父をよろしく頼むと言われます。その遺言通り、父の後妻さんになるんだと思いますが、男の子・アントン(縣千)を身ごもり、姿を消します。
ある日、周りの住民から魔女と呼ばれ、家に火をかけられて命と引き換えに、アントンを助けて死亡。

これが、ドロイゼン家の隠された闇の真実。アントンは修道院に預けられ、鉄職人の親方の家に引き取られます。

アーシャは、成仏できず?ずっとドロイゼン家の5人兄弟達、そしてアントンを見守っていたんでしょうね。夢人の女性達は、ドロイゼン家の輝かしい成功の隙間に、暗い影を落としていきます。

その際、色々と含蓄のあるお言葉を残していくんですよね~🤔。

魔女にさせられた

ヨーロッパでは、魔女狩りという言葉を聞く事があります。都合の悪い民族、異端、支配者に従わない者達を、魔女に仕立て上げ、虐げ、追い詰めていく。乗っ取りにも利用される、最悪は処刑です…。

また、薬草の知識がある事は、その意味が解らない民にしてみれば、魔法のように思うだろうし、妬みやっかみ、差別意識があるとそれは毒薬だとか、言われかねません。日本古来の大麻もそうじゃないですかねえ。

月組『応天の門』を観た時に、鬼って何だろうって考えた時、このパターンもあり得ると思いました。都合の悪い物は、鬼にさせられる。

闇です、闇…。
これは本当にヒドイ!浮かばれませんよ、そりゃあ夢に化けて出ますよ😣!
ドロイゼン5はそんな事は知らなかった。久城あす・日和春磨・真友月れあ 悪だくみ3人のお陰で?知る事になります。

私達も同じように、実は誰かの犠牲の上に、今の地に暮らしているのかも?しれません。だから神社で祭事(霊鎮)が毎年行われるのでしょうか…。

ドロイゼン5は、真実に目を背けず受け入れる事で、更に絆が深まった。闇を乗り越えた先に、光は見える。この過程は人生において避けては通れない、逆にさらにステップアップできるチャンスでもあるんでしょうね。

5男ヨーゼフの死

母に似た5男のヨーゼフ(華世京)は、生まれつき心臓が悪い。きっとハードな仕事は無理なんでしょうね。
音楽の才能があり、作曲家。優秀な兄達を癒す、天使のような存在。

ヨーゼフが、バイオリン奏者のエリーゼとハインドリヒを引き合わせ、そしてエリーゼが幼馴染の鉄職人であるアントンを紹介する。
守護天使の存在・ヨーゼフのお陰で、ドロイゼン家は苦境から立ち上がり、その引換えとしてなのか、ヨーゼフは突然病気が悪化してこの世を去ります。

アーシャが連れて行ったのかなぁ。。ヨーゼフなりに頑張った、兄弟に残した功績は大きい。

闇があるから、光を求める

身内の結束力(血の絆)

長兄と次男のちょっとした喧嘩、意見の相違。

彩風咲奈と朝美絢の兄弟喧嘩が、大好物です😍。

バチバチやり合う2人の男。『蒼穹の昴』でもそうでしたが、観ていて心が湧きたつというか、スカッとするというか、この2人の兄弟愛っていいな~と今回も思いました🙆。

苦境に立たされている時こそ、信じあえる兄弟の絆。人間とはこの繰り返しで、見失ったものをまた見つけるんでしょうかねー。

そんな2人の兄を見つつ、弟たちにも目をやり、真ん中にいる三男ゲオルグが和希そら。
三番手そのまんまの立ち位置。優しくて行動力があって、バランスの取れた人物だなと、それもそのまんまかな?

闇を受け入れ、光を得る

夢人さん達が最後に、一筋の光に向かって熱唱する場面が、とても胸にグッと来ます😢。
魔女と呼ばれながらも、大切な物を見捨てずに伝えてくれようとする。とても強くて優しい存在。

見かけだけで、良い悪いってすぐ判断できない物ですね。最近肝に銘じております。全てには裏(闇)があるんじゃないか、表だけ見ても、本当のことは分からないんじゃないかと。

ハインドリヒやエリーゼが口にしていた

心の奥底から湧き出る感情を大切に という事。

あらゆるメディアも人の噂もアドバイスも、程々にしないと、自分の気持ちがなおざりになってしまいがち。情報量が多いからなぁ。困った時こそ、心の奥底をしっかり感じて、行動したいと思います🙆。

愛は全ての才能の原動力

ドイツに住む者同士が心を一つにするため、物理的に鉄道というロジスティックを使い、関税同盟の契約を交わし、距離を縮めて産業発展を目指そう!という運動を、ハインドリヒと周りの人々が推し進めていく。

長兄たる責任感、広い民への愛情が、周りの人からのサポートを引き寄せ、そして愛する人も引き寄せた😍。というか、愛する者に素直になれたという感じかな。

エリーゼも、女性だからバイオリンを続けられなかったとしても、次へと気持ちを切り替えた。
この展開は結構斬新だと思った。現実問題、夢をずっと追い続けるのもいいけど、もっと大切(愛する人)な物の為になる事をする、という人生も素敵だ。夢白あやの屈託のない笑顔が素敵だった。

フランツ(朝美絢)は、兄に遠慮せず、好きでたまらないディートリンデ(野々花ひまり)の心の奥底まで食い込んで、彼女の苦悩を諭し、受け止める。
これは難しい芸当だ。ディートリンデも大人。誇りを持ちつつ、エリーゼのおせっかいによって、自分の力でドロイゼン家のビジネスに加わる(父の策略でなく)。

やっぱり、愛なんだな~。色々な考え方の愛がありますが、愛情を持って半径3mの人々と接せれば、それはどんどん広がると思う。

ほんとーに取り留めもないメモでしたが、沢山のヒントが詰まった、ライラックの夢路。

そして主人公たちのバックには、沢山の恋人達(カップル)、ブルジョワ家族、冬を越すのが一苦労の農民、鉄職人、そしてライラックの花の精。酒場の酔っ払いも!
組子が色々な場面を持ってイキイキしている姿は、ああ、ミュージカルっていいなぁと思わせてくれました。

クリスマスシーズンの街の風景が、特に今はお気に入りいですね。真夏にクリスマスですが。。。クリスマスと言えば雪組。シックリくるんですよね~😃。あの場面のコーラスと登場人物の小芝居も見どころです。

ライラックの紋章(鉄のジュエリー、欲しいな😉)と唐草模様のような流線形のモチーフ、螺旋階段。そしてそこに流れる灼熱の炎。カチン!と鳴る金物の音。全てがとても心地よい。きっとあのような造形は、観ているこちらの心をいい気分にしてくれる、良い気が流れる仕掛けでも、あるんじゃないかな🤔。

謝珠栄先生の、沢山の想いと仕掛けが詰まった作品だったなーと改めて思います🙆。

凄くシンプルに、明日も頑張ろ!って思いました~。千秋楽まで後わずかです。

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