「マドモアゼル・モーツァルト」感想 明日海りお 一番のお役だと思う!華優希との美しい友情




明日海りお主演ミュージカル『マドモアゼル・モーツァルト』を観て参りました。

ブリリア東京はほぼ満席。あの大きな劇場で、モーツァルトの音楽で満ち溢れ、ちょっとしたパワースポットのような心地の良い時間を過ごすことが出来ました。

こちらのモデルプレスさんのダイジェストが一番良かったかな、共有します。

音楽劇だなと感じました。モーツァルト音楽のアレンジの数々。テクノやポップス、色々なジャンルの音楽も織り交ぜ楽しい内容。オペラの題材もふんだんに使われており、新国立の本物オペラのようなセットや衣装のクオリティに、まるでオペラを観に来ているような気分にもなりました😃。あー素敵😍。

30年前の音楽座のミュージカルの再演だそうで、以前クリエで拝見した『シャボン玉とんだ…』の時と同じ、小林香さんの演出なのですね。

簡単なあらすじ*ネタバレあり

モーツァルトはエリーザ(明日海りお)という女の子で、幼い頃から即興でピアノを弾く天才。パパがその才能を見越し、時代的に女性では才能開花が出来ないと感じ、男子ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトと名付け、音楽家として育てる。

ウィーンで有名になり、宮廷作曲家サリエリ(平方元基)と出会う。サリエリと握手し、ハグした時に、男性ではない、女性らしさを感じるが、ゲイなんだろうなと思い、サリエリは恋人の歌手カテリーナ(石田ニコル)を使って、誘惑して確かめろと依頼する。

モーツァルトの宿の娘コンスタンティン(華優希)と、結婚して欲しいと彼女の母親がうるさい。彼女も乗る気で、『フィガロの結婚』上演中?この2人は強引に結婚する事になるが…、仕事ばかりで一緒に夜を過ごせないストレスで一杯になるコンスタンティン。どうにも隠せず、モーツァルトは自分の身体を見せて納得させる😳。いや、コンスタンティンは驚きのあまり逃げ出す…。

モーツァルトが弟子フランツと制作に従事していた最中、本物のメンズと出会いコンスタンティンはいわゆる公認の不倫関係となり、子供が出来る。モーツァルトは、自分の子供だと発表し、もう逃げられない状況となる。

神に逆らい、嘘をついて生きてきた自分は必ず罰を受けると、『ドン・ジョバンニ』制作中に我が身を思い、そのタイミングで大好きなパパが死んでしまう。しかし、それは、同時に男・モーツァルトは死んだんだと気づく。

2幕目冒頭、なんとエリーザとしてドレス姿で登場!めちゃ素敵😍。私は自由になったんだと、女性の人生を謳歌したいとコンスタンティンと共に出かける。女同士の友情という立場に変わる。

そんな美しいエリーザに一目ぼれするサリエリ。やはりモーツァルトの事が好きなのである。従姉だと紹介され、どうにか素性を隠してサリエリとは付き合っていくが、コンスタンティンはモーツァルトに振り回されっぱなしの状況に耐えられなくなる。

最近パッとしないモーツァルトに来たオファーは、民衆のためのオペラ『魔笛』の制作だった。やはり作曲家として生きる!と、命を注ぎ寝る暇を惜しみ書き上げる。劇中劇で魔笛をイメージしたショーが繰り広げられる(パパゲーナ🐥素晴らしい)。サリエリも認める素晴らしい出来だが、モーツァルトはもうすでに体力が尽き、命果ててしまう。

様々なしがらみから解き放たれたエリーザ・モーツァルトの魂は、永遠に音楽家として自由に作曲をし続ける(かなー)。

明日海りお 天性のスター

いや、これ当て書きでしょ?って思ったんですよ、最初は。

しかし30年前の戯曲であると知って、明日海りおを待ってたんだなーって本気で思いましたよ。

モーツァルトは、宇宙から来た説とか、天と交信していた神説とか、色々ありますが、人間や性別を超越した神の子供のような、天真爛漫で好きな事だけやって生きてきた、憎めない可愛い存在、永遠の子供です。

それって、明日海りおじゃない?ってちょっと思ったりしました。一見の価値ありです🤓☝。どう説明すればよいのか…、これは是非観てみて頂きたいです。重力を感じない、掴みたくても捕まえられない、楽しくてたまらない音楽の申し子、そんな感じ。

そして、華優希が隣にいると、更に際立ちます。
旦那に対して恥じらったり泣きわめいたり、彼女がフツーの女の子として存在しているので(いい意味で)、このギャップが面白いです。夫婦漫才的な所もあったり、女同士の友情も結構グッとくるものがあったり、はたまた宝塚の時の子弟関係っぽい感じも、いや、その逆もあったりで、面白い関係性です。

はなちゃんの母性を感じる、まるでみりおの保護者みたいに感じる瞬間もありました。この2人はイイコンビだったんだなー。明日海りおという永遠の子供(舞台上では)を、しっかり手を繋いで現世と結び付けてくれているお役目が、はなちゃんって感じでした。

平方元基さん演じるサリエリは、大男!って感じで😊。是非エリーザと一緒になって欲しいなぁと思って観ていましたが…、そうはいかなかったか。

最後にはモーツァルトが女であることも分かっていながら、作曲家として心底認めていた所が、いい男だなーと。音楽の理解者はパパとサリエリだけだった、というくだりもジーンときました。心で繋がっていた宿敵だったんですよね。

石田ニコルさんのカテリーナの美声&美しい容姿!本物の当時のオペラ歌手のような。とってもゴージャス!でした👏👏。

良く出来たANOTHERモーツァルトのお話

凄ーく辻褄が合ってる気がしました。え、本当に女性だったんじゃないの?って思う位(笑)。

時代背景的に女性が作曲家になれるはずもなく、結婚しないと認められないから偽装結婚したため、コンスタンティンは悪妻と言われても仕方がない。『フィガロの結婚』では、小姓の少年役をソプラノ歌手(女性)が担当したり、『ドン・ジョバンニ』では嘘をついて人を欺いてきた人生には罰が待っているとか。

窮屈な宮廷生活の中で、この天才児はあまりにも天真爛漫で、出世とか恋とか関係なく、浮かんでくる素晴らしいメロディーを書き写して皆を喜ばせているだけ。サリエリのように、憎たらしい存在でも敵わない、周りの皆が振り回されてしまったのは、本当の話なのでしょう。

未だに個人的には謎なんだけど心惹かれる『魔笛』。象徴的モチーフが出てきたり、神話や説法をお話にした内容だったり、実は夜の女王は悪いヤツだったり、深い内容なんだろうなと。迫力があって本物のオペラみたいで素晴らしかったです。その作品に命を懸けるモーツァルトの神がかった演技、これまた重力を感じない浮遊感が凄かった。

モーツァルトファンの方なら、より一層、内容の意味が分かると思うし、とても面白いミュージカルだと思います。こんなお話もあるよねーって思える。そして芸術性が高くて、モダンで、シンプルなセットが引き立つ映像演出のセンスの良さも感じます。

みりおさん、これは再演して欲しいよねー。
個人的にはエドガーよりも、モーツァルトの方が好き。よりみりおに近い気がする。

天才みりおに出会えた舞台でした!
(いやいや、ってきっと謙遜する所がまたモーツァルトっぽい感じもします)

 

ミュージカル『マドモアゼル・モーツァルト
2021年10月10日~31日迄
東京建物Brilliaホール(池袋)
第1幕70分 休憩20分 第2幕70分(合計2時間40分)

原作:福山庸治『マドモアゼル・モーツァルト』
演出:小林 香
主な出演:明日海りお、平方元基、華 優希、古屋敬多、石田ニコル、鈴木勝吾、戸井勝海

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