桜木みなと『カルト・ワイン』はブルゴーニュの葡萄 スパイシーで個性的 酸味が少々 後味は爽やか 感想1




いや~この日を待っていた。

桜木みなと率いる宙組メンバーが挑む、栗田優香先生が丁寧に描いた狂乱の21世紀『カルト・ワイン』を運よく観る事が叶いました😆😆😆。

嘘か誠か世紀末か、狂乱の時代

宙組前作『NEVER SAY GOODBAY』、とてもリアリティあるスペイン内戦とハリウッドの物語を、丁寧に小池先生は描かれていました。セリフ一つ一つに意味がある、ごまかしが無い。

そして今回の栗田先生の『カルト・ワイン』も、実際にあった偽造ワインの話がベース。数千ドルもする1本のワインに狂乱する、アメリカ人の華やかで狂気に満ちた世界。
中米ホンジュラスのマラス(マフィア)にハマって抜け出せない貧民達が、生きるためにアメリカに移民として入ってくる社会問題。それぞれが交わり丁寧に描かれてていました。1つ1つ嘘が無い。

生きる事に一生懸命で、ギリギリの所で救われて、でもその手は真っ黒に染まっていて、それでも生きるために己の才能を生かす方法を考える。

シエロ(桜木みなと)は神のような舌を持つ。フリオ(瑠風輝)は嘘が嫌いな実直な性格。親友の2人がどうして移民となってアメリカに渡り、偽造ワインを作り、シエロはワインの大コレクターと化けて世を賑わせたのか。。

オークショニア(風色日向)によるナビゲーションと、アメリカのニュースキャスター2人(花菱りず&湖々さくら)の報道と共に、物語が進行します。

ワインのオークションシーンが度々登場しますが、物の価値って何なんでしょう?って思っちゃいます。

現代の価値とは、ただの絵空事、マーケティングだって思います。
ただただ、そんな時代を生き抜いた。皆が求める最高の物を作って提供した。狂乱の世の猿芝居に、シエロも乗っかっただけなんだ。ストンとストーリーが腑に落ちる展開でした。

誰も悪くない、皆人生芝居のキャストで、騙し騙され、スリリングな時代を生きているんだ、それだけの事さ。大変お洒落で知的な人生ゲームに、高級ワインを添えて、一緒に楽しめたら最高です(お酒🍷はお家で)。

簡単なあらすじ※ネタバレあり

中米ホンジュラスのマラス(ギャング)の刺青が入った、青年シエロ・アスール(桜木みなと)。食堂の息子フリオ(瑠風 輝)と親友だ。フリオの親父ディエゴ(松風 輝)と妹モニカ(美星帆那)と店を営んでいるが、家賃の滞納で、シエロからいつも催促されている。

マラスのボス(希峰かなた)の狂った命令で、敵を1人殺してこいと言われる…😱。シエロは納税滞納のディエゴを殺してこいと言われ、そりゃあ困るよ😭!狂ってる。フリオとみんなで、もうこの国を脱してアメリカに逃げようと決断する。

命からがら移民グループで国境を超える途中、貨物列車の上でテロリストに脅される。女のモニカを連れ去ろうとする彼らに抵抗し、ディエゴは撃たれて殺されてしまった。ディエゴは若い未来のある子供達にアメリカでの未来を託す…。

シエロとフリオ、モニカはアメリカに着いた。まずは職探し。街角に立って、値段交渉をする。安値で受けると相場が下がるとシエロは注意される。色々しきたりがあるんだなー。

そこで元マラスの成功者、チャポ(留依蒔世)に出会い、連絡先を貰う。

2人はメキシカンフードフェスのお手伝いをする事になり、料理人のフリオは活躍する。ソースの味の違いを、持ち前の舌を使ってシエロは丁寧に説明をする。何か隠し味がある、ソイソース(醤油)だ!と大評判。

オールドエルパソ タコスキット

そこで一つ星レストランのカルロス(寿つかさ)と娘のアマンダ(春乃さくら)と出会い、2人は店で仕事をさせてもらう事になった。

アマンダに一目惚れしたフリオ。しかしアマンダは、シエロがワインのテイスティングで、いいセンスを持っていると分かり熱心に個人レッスン。2人が夜な夜なワイン倉庫に入るのを見て、フリオはちょっといい気持はしない。

フリオの妹モニカは心臓が悪く、手術に6万ドルも必要だという。金がない、、そこでシエロはアマンダからクリスマスプレゼントにもらったスクリーミング・イーグル(近年価値の上がっているカルト・ワイン)をチャボに高値で売った経験から、同じようなワインを作成し、空のボトルに詰めて偽造ワインをチャポに売りつけようという魂胆。

スクリーミング イーグル カベルネ ソーヴィニヨン 2016 Screaming Eagle Cabernet Sauvignon アメリカ カリフォルニア 赤ワイン

しかし簡単にチャポにバレた2人。
逆にチャポから、偽造ワインを元に大儲けする計画を提案され、シエロだけが協力する事にする。ここで2人は離れ離れとなる。

チャポはシエロを育て上げ、カミロ・ブランコという偽名で新進気鋭の大コレクターとして世に登場させる。2人はグルになって偽造ワインをオークションに出し、大金を手に入れていく(錬金、マネロンだね😕)。

アマンダから得た知識と、生まれ持った舌、いいスーツにかなり気前のいい大胆な男。面白い人だとコレクター仲間には評判が良い。オークションのゴールデン・ハンマー社社長ミラ・ブランシェット(五峰亜季)は、カミロに近寄り、彼のコレクションをオークションに出して欲しいと依頼する。

オークションは大成功、富豪(澄風なぎ)の元に落ちたが、息子(鳳城のあん)はワインのお仲間(聖 叶亜)からの情報で、それは偽造ワインではないかと疑う。

会社としては一切責任はないと契約について説明するミラ。つまり騙されたあなたも悪いし、カミロも騙されて手に入れた可能性があるという事。

しかし、ミラは思い出す。カミロ、いやこの男は、メキシカンフードフェスで出会ったあの青年ではないかと。正体を見破り、弱みを握り、今更偽造とは言わず、今後も続けてもらうが、コミッションを半分寄こせと交渉してくる。ああ、どいつもこいつも同じ穴のムジナだな。

警察(秋奈るい)の捜査が始まる。富豪やお仲間にカミロの話、偽造ワインについて調査を依頼するが、誰も協力してくれない。そりゃそうだ、ワインの価値は下がるし、あけたら、ただの液体になってしまう。

カミロの正体を知っている者が他にもいる。ゴールデン・ハンマー社の下見会に訪ねてきたアマンダと、ほぼ婚約者としてニューヨーク支店を任されたフリオだ。ばったりシエロに出会って、なんであんたここに居るの?しかもカミロって誰よ😲!

いよいよこの芝居も大詰め。シエロは幕引きは自分で考えるとフリオに伝える。チャポから足を洗う事なんて出来っこない。フリオは自首して欲しいと願うが…。
またアマンダも久しぶりにシエロに会い、やっぱり自分はフリオの事は好きになれないと気づいてしまう(ガーン😮)。
シエロが好きだったのかな、フラれちゃったよ、フリオ。

そしてオークション当日(舞台冒頭のシーンに戻ります)、警察が会場に到着、シエロは逮捕される。

裁判には正々堂々と臨む。フリオもじっとその場を見守る。判決は懲役10年。

シエロはオレンジの囚人服に身を包み(No.122795😃)、以前ディエゴから貰ったお守り・十字架に、たんまり貯めた金のありかを記してあると、面会に来たフリオに伝える。これを元に、出所したらやり直そう!また2人で😙。

ワイン通にはたまらないお話

ワイン愛好家達が、自分のワインを自慢して持ってきて皆で飲むパーティーの話。(まるでボクシング試合)
1945年物のロマネ・コンティを開けよう!

桐箱入り ロマネ・コンティ [1970] 赤 750ml
どうやってコレクターのワインをオークションに出してもらえるか、知恵を出す女社長。
偽造ワインの取り調べを受けるメリットが全くない、警察の言い分。

どれも凄いリアリティある、上流階級の掟みたいなお話。カッコイイ。

セットにはワインセラーに、ワインのラベルを全面に貼った壁等。シンプルでオシャレ。

1本1000万円!?まさに狂乱だ…。そこがたまらないのか?投資対象になった事が拍車をかけている。ウイスキーならボトルを開けても価値あるけど、ワインは終わるからね…。

それでも人を魅了するワインの世界。常識として、知識として知っておくことは、きっと人生において役に立つはず。

家族で経営する一つ星レストラン、娘がソムリエ、ああ、本当にあるある話です。
いい舌を持つ日本人男性が、ヨーロッパに料理の勉強に行き、一つ星候補のレストランで2番シェフになり、日本に戻ってオーナーシェフとなっている例は、良く聞きます。ワインを覚えて、沢山ワインを買い込んできて、これは上がるとか、どーだこーだ御託を並べて皆で楽しい夢を見てワインを飲む。

熟成されたらもっと美味しいはず

このお芝居、あえてそんな風に表現してみました😋。

ブルゴーニュの葡萄は、荒れた土地で育って、ぎゅっと甘みが濃縮される?ようなお話を、アマンダ先生が教えてくれました。ああ、これってずんちゃんぽいなと。

【ブルゴーニュワインの秀作】ルイ・ラトゥール・ブルゴーニュ・ピノ・ノワール [ 赤ワイン ミディアムボディ フランス 750ml ]

アマンダはお嬢様育ちで、ソムリエの勉強をしているけど、パッとしない感じ。シエロは大して勉強もしていないのに、味の違いをすぐに言い当てる。貧しい育ちで感性が磨かれたのかしら?という風に。

ずんちゃんも、色々なお役や局面を迎え、辛い事もあるだろうけど、だからこそ研ぎ澄まされる個性や技が出てくるんだろうな~って思いました。

スパイシーで個性的なアメリカ人、メキシコ人、そしてホンジュラスのマフィア達(スゴ~イ怖いです😳)。

国境を越えてアメリカに渡るシーンは、酸味ならぬ、ほろ苦く切ない。

フリオのパパが(松風 輝)撃たれたシーンは泣いた😭。CNNテレビで出てくるような、リュックにスニーカー、ビニールシートにくるまれて。現代の移民の姿がリアルです。

アメリカの大統領(嵐之 真)は国境に壁を作ると宣言する。移民を救うべきだ!と思う反面、移民に職を奪われたアメリカ人だって深刻だ、理解できる。

どちらが良いとか悪いとか、言えないな。どうすればいいんだろうって、中米がどうして貧しいのか?そこを追求しろよーって思います。

最後はちょっと笑えて、え~!って感じで、軽快で爽やかな後味。そうだよ、そんなものさ。また出直せばいい。正反対の2人が、苦楽を共に生きてきた。

友情は尊い✨!
ずん&もえこの友情は、最高の胸キュン・コンビネーションでした!

お待ちかねカッコいいノリノリ・フィナーレで、やっほ~!
ピンクのファーが鮮やかな、桜木みなと。爽やかな笑顔がトレードマーク。ああ、ずんちゃんの満面の笑顔だーーって泣きそうになりました。
もえこと2人、ダンスの掛け合いも、ちょおおおお胸キュン😍(私個人的に)。身長差にメロメロです

このお芝居、もっと熟成させたら、更に美味しいはずよ🍷。現代劇って宝塚では珍しいけど、大変ドラマティックな狂乱の世は、今まさに続行中。それを演じている宙組メンバー。今の人々を演じているのだから、今の感覚で演じればいいんだと思う。みんな洒落てて、怖くて、可愛くて、最高よ!

まだまだ熟成度・チェックだな!後日キャストの感想を書ければ🙋。

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